研究課題
現場観測としては、北極海チュクチ陸棚域において、2020年8月にカナダ沿岸警備隊砕氷船「ローリエ号」で係留系1系の回収、10月に海洋地球研究船「みらい」で係留系1系の設置を行った。回収した係留系からは、3年間の良好な観測データが取得できた。また、「みらい」ではチュクチ陸棚斜面域にて、係留点を含む横断断面での水平、鉛直的に高解像度なCTD、ADCP、採水観測を実施し、水温、塩分、流向流速、栄養塩、クロロフィルなどの観測データを取得した。2019年8月にアメリカ沿岸警備隊砕氷船「ヒーリー号」で設置し、2020年秋に「みらい」で回収を予定していたバロー海底谷の係留系3系は、新型コロナウィルスの影響で、「みらい」の航海時期が変更され、アラスカ原住民の捕鯨と重なったため、回収を2021年9月まで延期し、2年係留とした。当初計画より係留系の回収時期は遅れるが、過去にも2年係留を実施し、良好なデータを取得した実績があり、1年間の追加データも取得できるため、大きな影響は無い。コロナ禍で世界各国の船舶による北極観測航海が中止や延期された状況下では、回収を延期するのが最善の選択であった。これまで取得した観測データの解析としては、係留系による海洋環境やADCP音響データ、人工衛星データから、近年の海氷減少によるバロー海底谷における海洋環境、植物、動物プランクトンの長期変動を明らかにする解析を行った。この研究結果は国際学会で発表し、主著論文として投稿中である。また、係留系や船舶観測データを用い、動物、植物プランクトンの変動要因である、チュクチ陸棚域の亜表層の水温上昇の実態把握と原因解明、北極海海盆域への影響について調べた研究結果を国際学会で発表し、主著論文として投稿予定である。更に、係留系データを用いたチュクチ海の海洋循環や水塊変動の共著論文が1編受理され、3編を投稿中である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 6件)
Journal of Geophysical Research: Oceans
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10.1029/2020JC016863