北極海では地球温暖化で急激な海氷減少が進行しているが、海洋生態系への影響は未解明である。本研究では、多氷年(2000-03年)と、少氷年(2010-13年)に得られた、バロー海底谷の係留式音響流向流速計のデータから、動物プランクトン量の10年規模変動の解析を行った。その結果、動物プランクトン量は、この10年で1.6倍に増加し、植物プランクトンへの摂餌圧も増加し、有機物のほとんどが底生生物に供給される生態系(pelagic-benthic coupling)から、動物プランクトンによる有機物の消費が卓越する生態系(pelagic-pelagic coupling)への移行が示唆された。
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