研究課題/領域番号 |
16K00534
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
松井 洋平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム, 特任技術主任 (90756199)
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研究分担者 |
川口 慎介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 研究員 (50553088)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 有機炭素 / EA-IRMS / 酸処理 / 炭酸塩 / 不動態 / 揮発性成分 |
研究実績の概要 |
最終年度は、難分解性炭酸塩を除去し不揮発性有機化合物および揮発性有機化合物の元素分析を行うため、まず金属箔カップの耐酸性を強化することを試みた。金属箔表面に不動態被膜を形成させるため、アルミニウム製カップをマッフル炉で空気雰囲気で550℃・4時間焼成し、アルミニウム表面に酸化アルミニウムの被膜を形成させた。酸化アルミニウム被膜の形成は重量法により、アルミニウムと酸化アルミニウムのモル質量の比から計測した。マッフル炉による焼成の結果、アルミニウムに被膜が形成されることが確かめられたので、絶縁抵抗を計測することにより、カップ表面が絶縁されていることを確かめた。しかし、酸化アルミニウムによる被膜は数ナノメートル程度と大変薄いために、少しの衝撃でもすぐに剥離してしまうことが分かった。絶縁抵抗を測定するためのプローブを少し強く押し当てるとすぐに被膜は破壊されてしまい、地金のアルミニウムにより絶縁が崩れてしまうことが分かった。次に、もろい被膜を保護するために、被膜上の酸化アルミニウムを成長させ、また水酸化アルミニウムによる追加の保護を行うために、純水中で酸化アルミニウム被膜付きアルミニウムカップを沸騰温度以下で4時間煮込んだ。煮込み中には水素ガスを発生させながら被膜がさらに成長していくことが分かったが、保護後でも作成された被膜付き金属箔カップは、6規定塩酸には耐えられないことがわかったので不導体被膜の方法は保留とし、イオン化傾向の更に小さい金属による薄膜保護の方法を試みた。薄膜保護の方法は金属カップの耐酸性を強化することができたので、電子顕微鏡付属のEDXにより元素組成を調べ、確かに薄膜が金属カップ表面に形成されていることを確認した。この方法により、シデライト・マグネサイト等を含む試料の分析を行い、有機微量分析および揮発性成分の元素分析を行った。
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