高線量放射線被ばくでは、被ばく後の時間が経過した後に遅れて放射線影響が出現する遺伝的不安定性が知られている。福島原発事故による低線量・低線量率放射線被ばくによって、遺伝的不安定性が誘発される可能性を細胞生物学的に検討するシステムを構築した。放射性セシウムが最も多く蓄積する骨格筋から半永久的に細胞増殖を継続できる試料を作製した。作製した細胞を長期培養した期間の解析結果より、旧警戒区域で被ばくした筋肉由来細胞では遺伝的不安定性が誘発される可能性が極めて低いと予想された。生物影響の出現は臓器によって異なるため、本課題で確立したシステムを筋肉以外の臓器に適応して更に知見を蓄積することが必要である。
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