本研究では、指向性がある自動車走行サーベイシステムASURA(アシュラ、Analytical Sensing Unit for Radio-Activity)を用いる事で広域の道路上における放射性セシウム沈着量調査を実施するとともに、新たに歩行用沈着量測定システムを開発し、自動車での測定ができない山林などでの沈着量分布調査を実施した。 昨年度に引き続き、ASURAを用いた沈着量及び線量率の経時変化のための調査を、重点領域として定めた国道6号線や常磐自動車道にて実施し、3年間の研究期間内で計20回近くの調査データを蓄積した。 ASURAの解析プログラムを改良(自動車速度パルスの考慮等による位置決定精度向上及び、繰り返し測定の足し合わせによる高精度調査データの取得)し、それを用いて本研究期間以前のデータも含めて、蓄積してきた国道6号線の沈着量の経時変化を解析し、道路表面に沈着した放射性セシウムが物理学的半減期よりもやや早い速度で減衰(環境半減期の値としては11年程度)している事を明らかにした。これは、以前に実施した1.5年分のデータ解析では物理的半減期と同等で減衰との結論になっていたが、本研究によりさらにデータを蓄積したことにより明らかにできた成果である。 歩行用沈着量測定システムでは建物の近くや山林などGPSによる測位が難しい環境での測定も多いため、LIDAR(Light Detection and Ranging)とSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いた測位技術の開発に取り組んだ。
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