研究課題
I.~III.の研究実施計画に沿って、それぞれ以下の研究を行った。I.ハイスループット技術によるγ線照射下の細胞の生物学的指標のデータベース構築 >未照射、0.007、0.069、0.347、0.694、1.388 mGy/minの線量率の異なるγ線持続照射環境で培養したヒト由来線維芽細胞を用い、DNA損傷に関わる様々な細胞内因子について蛍光免疫染色の条件を検討し、免疫染色を行った。全自動共焦点レーザー顕微鏡画像撮影装置と画像解析ソフトを用いて、細胞形態と複数の細胞内因子の発現量及び局在変化について数値化し、データ化を行った。また、全自動画像撮影装置を用いたアポトーシス、細胞周期分布、細胞老化の表現型の定量的解析系を開発した。II.siRNAライブラリによる細胞運命決定責任遺伝子の網羅的逆遺伝学スクリーニング >I.のデータと前年度の2次遺伝子スクリーニングの結果に基づいて、0.069~0.694 mGy/minの照射環境下で現れる主な細胞応答の責任遺伝子候補群をいくつかに絞り込んだ。更に、それぞれの遺伝子の抑制細胞と次世代シーケンサを用いたRNA-seqのデータを組み合わせた解析を行うことで、細胞運命決定の責任遺伝子群としてクロマチン制御複合体の一つを同定した。III.細胞運命決定の責任遺伝子の機能解析 >クロマチン制御複合体を含む細胞応答責任遺伝子候補群のいくつかについて、照射された細胞での発現量変化、動態解析と、CRISPR-Cas9を用いた遺伝子欠損細胞の樹立作業を行った。
2: おおむね順調に進展している
持続照射環境下での線量率依存的な異なる細胞応答性の解析と、それぞれの細胞応答を制御する責任遺伝子の同定及び機能解析は、おおむね順調に進展しているものと考える。早期の遺伝子欠損細胞の樹立が現在の課題である。また、データベースの構築には更に時間を費やす必要があるものと考えられる。
次年度は、持続照射環境下での線量率依存的な細胞応答責任遺伝子の機能解析を主な研究計画として実施する。また、計画に沿ってハイスループット機器によって収集されたデータを用いたデータベースの構築を目指す。
遺伝子欠損細胞の樹立に想定よりも時間がかかっており、研究計画の遺伝子機能解析に若干の遅れが生じている。樹立ができ次第、解析を行うため、その費用を次年度に繰り越すこととした。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)
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