我々はこれまでにマウス胎仔へのX線照射後に生まれた仔マウスが成体となった時点で、造血細胞に生じている転座型染色体異常の頻度を調べてきた。その結果成体時では被ばくの影響が残っていないことを報告してきた。本研究ではマウス胎仔造血細胞に生じた被ばくの影響がいつ消失するのかを調べる計画をたてた。その結果、造血幹(前駆)細胞集団では、胎内被ばく後2日(出生前)の時点では胎仔も母親と同様に被ばくによる転座を保持していることがわかったが、その転座は生後約2週までに観察されなくなるという結果を得た。また造血幹細胞レベルで詳細に調べるため、単一造血幹細胞由来コロニーの染色体核型を分析する方法を確立した。
|