研究課題/領域番号 |
16K00557
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
宮崎 航 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90512278)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 甲状腺ホルモン / 小脳 / 脳発達 / 内分泌攪乱 / 環境化学物質 |
研究実績の概要 |
脳発達・発育における甲状腺ホルモン(TH)系の役割と環境化学物質による撹乱の影響について、毒性の発現メカニズムには未だ不明な点が多い。これまで、TH受容体(TR)を解する転写制御が撹乱されることを報告していることから、本研究では標的遺伝子発現に関与するTH 応答配列(TREs)へのTRの結合変化を中心に、特に小脳の臨界期における結合の変化を網羅的に検索し、脳発達におけるTHの役割を解明する基礎データを提供することを目指している。さらに、申請者がこれまでに明らかにしたポリ塩素化ビフェニル(PCB)をはじめとする化学物質曝露により引き起こされる影響に関連するTREsを明らかにし、脳発達を撹乱する標的遺伝子とTREsを同定することも目標としている。 本年度においては、前年度まで、野生型マウスより採取した小脳を試料に、抗TR 抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)法を行ったが十分機能しなかったため、新たにビオチン標識されたTRを入手し、各種細胞株を用いてChIP法が機能することを確認し、数種の新たなTREを同定した。しかし、小脳においてビオチン標識TRを発現する遺伝子改変マウスがいないため、CRISPR/Cas9法に精通する海外研究協力者に助言を仰ぎ、新たな遺伝子改変マウスの作成を開始した。 また、TREの検索を行う予備実験として、甲状腺機能低下マウスに対しTHを投与したのち24時間後に小脳を採取し、マイクロアレイにて遺伝子発現を観察し、TREを予測することを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた、クロマチン免疫沈降(ChIP)法を改善するため、新たにビオチン標識甲状腺ホルモン受容体を入手し、ChIP法の改善を行った。細胞株では機能したものの遺伝子改変マウスが必要であるため、その作成を進めているが、若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度においては、ChIP法の遅れが出ている。そのため、すでにタグ付き甲状腺ホルモン受容体を発現する遺伝子改変マウスの作成を進めている。また、ChIP-seq法によるTREの検索の遅れを取り戻すため、甲状腺機能低下マウスを用いた甲状腺ホルモン投与による遺伝子発現変化をマイクロアレイにて検証することを新たに開始している。以上から本年度中に当初の目標を達成できると予想している。
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