研究実績の概要 |
令和元年度は、当初の研究実施計画に基づき、以下の調査研究を行った。 1)日本産コウモリ類の参照音声の収集:北海道を調査対象地とし、カグヤコウモリやホオヒゲコウモリなどのの飛翔音声をTime Expansion式バットディテクタとリニアPCMレコーダーを用いて録音した以上の結果、4種40個体以上の参照音声を収集することができた。 2)種識別方法の構築:前年度に引き続き、これまでに研究代表者が収集してきた音声ファイルをspectrogram画像に変換し、画像分類問題で性能が高いConvolutional Neural Network (CNN) を用いることで、特徴量を自動抽出し,高精度かつコールの変異性やノイズに頑健な種判別法の開発を目指した。結果、前年度同様、10分割交差検証での評価で平均正答率98.1 %を達成した。入力のspectrogramが多様であったことや対象種数を考慮すると,先行研究と比較しても高精度かつ,コールの変異性やノイズに対しても頑健に種判別が行えたと言える。この結果は現在論文化を進めている。 3)音声データベースの構築:まだweb上で公表できる段階ではないが、公表に向けた第一歩として、ソフトウェア「FileMaker Pro 」を用いて、これまで収集した音声をデータベース化した。 4)試験音声モニタリング:試験音声モニタリングを行った結果,6月には36,254個,7月には37,076個の音声ファイルを記録できた。この音声ファイルからコールを検出した結果,6月は169,240個、7月には296,730個のコウモリ類のコールを検出した。コールの数が予想以上に膨大であり,これらに上記2)で開発した識別器を適用する作業は現在進行中である。
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