研究実績の概要 |
昨年度に引き続き新潟県においてマダニの採取を採取地域を拡大して行い、約2000匹程度のマダニを採取した。遺伝子解析の検体数は本年度のみで約1000検体、昨年度と合わせると1400検体程となっている。新潟県において採取されたマダニで確認されたマダニ種は現在10種類となっている(Haemaphysalis longicornis, H. flava, H. megaspinosa, H. histricis, Ixodes ovatus, I. nipponensis, I. Persulcatus, I. monospinosus, I. columnae, Dermacentor taiwanensis)。2017年度採取分のマダニRNA/DNA抽出が終了し、病原体(ボレリア、リケッチア、SFTS)の検出を現在実施している。2016度の病原体検出結果はボレリアが9/386 (2.3%) で、種類はB. japonicaがほとんど(8/9)であるが、Borreliaではあるが種の確定には至らない検体が1検体あった。B. japonicaを保有しているマダニはI. ovatusであり、不明種を保有していたマダニはF. flavaであった。リケッチアに関しては18/386(4.7%)陽性を示し、R. monacensis, R. asiatica, R. helvetica,またリケッチアの種類を確定できない不明種が検出された。Ixodes属から検出されたリケッチアにおいては種の同定が出来たが、Haemophysalis属から検出されたリケッチアは種の同定が出来なかった。SFTSについては現在までに新潟県のマダニからは検出されていない。また、マダニの集団遺伝解析により新潟県に存在しているI. ovatusは2つの郡に分かれることが示唆されている。またマダニの形態分類の精度を上げるために研修を徳島県アカリ研究所において受講した。
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