研究課題
現在、多くの研究者が、大気汚染物質への曝露と自閉症のリスクの上昇との関連に注目している。自閉症スペクトラム障害(ASD)は、神経発達障害であり、低い言語/コミュニケーション能力、興味の範囲の狭いことおよび反復性の行動を特徴としている。遺伝的要因と環境要因の両方がASDに寄与しているとされるが、自閉症の正確な病因と病態生理は不明である。我々は、出生前および幼少期の大気汚染物質曝露が神経炎症を誘導し、ASDの潜在的な要因になると仮定した。30年度では、ラットモデルにおける環境汚染物質曝露によるASD様の行動を検討することを目的とした。Charles River Laboratoriesから入手したSprague-Dawley(SD)(n = 24)ラットを、本研究所の全身曝露チャンバーで妊娠14日から出生後21日まで、清浄な空気、DEおよびDE-SOAに曝露した。11~13週齢の時、Social dominance behavior を調べるため、チューブテストを行った。行動試験の完了後、免疫組織化学を用いて前頭前野における肥満細胞およびミクログリアを検出した。本研究の結果、SOA の発達期曝露がSocial dominance behaviorの変化と前頭前野における肥満細胞およびミクログリアなどの活性化を誘導したことが明らかになった。SOAの成分の中で、有機炭素は神経毒性を誘発することが考えられる。我々の研究は、発達期SOA曝露がラットの前頭前野における神経免疫バイオマーカーを介して神経毒性を誘導し、社会的優位行動に影響を与える可能性があることを示唆している。
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Indoor Environment
巻: 22 ページ: 23-32
Journal of Toxicological Sciences
巻: 43 ページ: 631-643
10.2131/jts.43.631.