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2017 年度 実施状況報告書

環境汚染物質・臭気の高効率除去システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K00583
研究機関信州大学

研究代表者

姫野 修廣  信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (20114887)

研究期間 (年度) 2016-10-21 – 2019-03-31
キーワード環境技術 / 汚染物質除去技術 / シャワークリーニング
研究実績の概要

本研究では,通常の方法では除去が難しいサブミクロン粒子を除去する方法として,粉塵を含む気流中に大量の水蒸気を添加することにより,サブミクロン粒子を凝縮核としてミストを発生させ,結果として除去粒子を大きくすることによって除去効率を高める方法について研究を行う.昨年度の研究で蒸気発生部を新たに製作し,ミストを発生できるようにした.本年度は,その装置を用いて,ミスト化したサブミクロン粒子の除去法について実験的研究を行った.
昨年度設備備品として購入したパーティクルカウンターによって,0.3μmから10μmまで6段階の粒子径について粒子数をカウントできるようになったが,研究代表者がこれまで使用していた線香の煙を用いると粒子濃度が高すぎてパーティクルカウンターの測定限界を超え,測定不能であることが明らかとなった.そこで通常の大気中に含まれるサブミクロン粒子を使用して実験を行った.
実験の結果,サブミクロン粒子はミストの大きさ程度に大きくはなるものの,シャワーだけでは高効率な除去が不可能であることがわかった.そこでじゃま板部を製作してシャワー部背後に取り付けたところ,ミクロンオーダーの粒子については大きな除去効果があるが,サブミクロン粒子については十分な効果は得られないことがわかった.そこで,じゃま板部の背後にさらに-30℃まで冷却できる熱交換部を取り付けたところ,ある程度の効果が得られた.これは搬送空気流に含まれる水蒸気が冷却面表面で凝縮し,その際の蒸気流が大きな影響を及ぼしたものと考えられる.そこで,この凝縮面への蒸気流効果とじゃま板効果の両方を利用することを考え,冷却パイプに接する形でじゃま板を30枚程度取り付けたところ,95%程度の大きな除去効果が得られた.このように冷却効果を持ったじゃま板を利用することにより,大きな除去効果が得られることを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」で述べたように,ミスト化することによってサブミクロン粒子の粒径を実質的に大きくできたが,従来のシャワーだけでは十分に除去できないことが明らかとなった.そこでその解決方法として,じゃま板の設置,-30℃まで冷却できる冷却パイプを使用した熱交換部の設置などいろいろ検討した結果,冷却機能を持ったじゃま板を使用することにより,大きな除去効果を得ることができた.
このように,当初の目的に達するまでにいろいろ困難があったが,結果的には大きな除去効果を持つ方法を見出すことができ,研究は順調に進展していると考えている.

今後の研究の推進方策

現状では,-30℃まで冷却できるじゃま板を使用することによって,ミスト化したサブミクロン粒子を高効率に除去できることを明らかにしたが,その機構についてはまだ不明な点が多々ある.
例えば,0℃以下に冷却すると大きな除去効果が得られるが,冷却温度と除去率との関係は不明である.おそらく冷却面に霜が付着することと関係していると思われるが,詳細な機構は不明であり,こうした除去機構と冷却温度,除去率の関係を明らかにする必要がある.最終年度は,これについて実験を行うとともに理論的考察を加え,明らかにする予定である.
また現在,冷却能力のあるじゃま板を30枚使用して実験を行いその効果を確かめたが,何枚程度のじゃま板が必要であるかも実用上は重要である.上述の除去メカニズムの解明とも絡むが,じゃま板の枚数の効果についても明らかにする予定である.
また本年度,粒径別の粒子数の測定が可能となったことで,高温にすることによるブラウン凝集の効果を確認することができるようになった.この点についても,検討する予定である.
さらに当初の研究計画にもある臭い除去についても,新しい冷却システムで検討する予定である.

次年度使用額が生じた理由

当初,サブミクロン粒子の捕集にはいろいろ困難があり,計画通り進まないことも予想していたが,0℃以下に冷却した熱交換器とじゃま板を併用することにより,当初の目的程度に除去可能となった.こうしたことから計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため,次年度使用額が生じた.
なお上述のように,結果的にサブミクロン粒子の高効率除去が達成できたが,その機構など不明な点があり,詳細な実験的検討が必要である.そのため,次年度使用額は,平成30年度請求額と合わせて消耗品費,臨時的に必要な備品費,論文投稿費として使用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] サブミクロン粒子の高効率除去法に関する実験的研究2018

    • 著者名/発表者名
      姫野 修廣,譜久山 恒士,岩田 拓実,佐野 健太
    • 学会等名
      2018年度 日本伝熱学会北陸信越支部 春季伝熱セミナー
  • [学会発表] サブミクロン粒子の高効率除去法に関する実験的研究2018

    • 著者名/発表者名
      姫野 修廣,譜久山 恒士,岩田 拓実,佐野 健太
    • 学会等名
      第55回日本伝熱シンポジウム

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公開日: 2018-12-17  

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