29年度は計画通り、「UFBによる尿石付着抑制効果」と「尿石剥離促進効果のメカニズム解明」を行い、「付着抑制効果・洗浄効果(実証試験)」については、尿石付着板の設置個所の現地視察や条件の模索等、その準備を行った。「UFBによる尿石付着抑制効果」については、蒸留水に十数種類の試薬を溶解させて調整した人工尿を循環する流れ場を水槽で作成し、実際の配管で用いられるステンレス板への尿石付着試験を行った。UFBは3~4日に一度程度、人工尿に混合させ、室温で実験を行った。結果、これまで確立した方法により、約3か月の運転で尿石と思われる付着物を生成できた。生成したスケールを超音波及びブラシでこそぎ落として重量や組成を計測した結果、水道水中にナノバブルを発生させた実際に近い系ではバブルを共存させた場合にスケール生成を約半分に抑制できることを明らかにした。一方で、蒸留水中にバブルを発生させて人工尿と混合した系では差が見られず、循環水中に生成する菌の種によって生成量に差が出る可能性を見出した。 「尿石剥離促進効果のメカニズム解明」については、初年度にバブル水自体には剥離性への寄与はほとんど無いことを把握し、上述のように本年度の前半の試験で精製するスケールの特性に影響があるとの結果を得たため、生成時にバブルを共存させた場合のスケールのもろさ(これは洗浄除去性に関連する)への影響を検討した。ここでは初期のみUFBを共存する系など、複数の系列を加え、抑制効果や剥離促進効果はないものの、スケールが疎になり洗浄されやすくなる可能性を見出した。
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