研究課題/領域番号 |
16K00594
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
鈴木 和将 埼玉県環境科学国際センター, 資源循環・廃棄物担当, 専門研究員 (70379824)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 廃棄物埋立層 / 数値流体解析 / 安定化有限要素法 / GPGPU / 並列計算 / 間隙構造 / パーシステントホモロジー |
研究実績の概要 |
昨年度、複雑な間隙形状に容易に適用できるように、有限要素法を用いた3次元流体解析コードを作成した。しかし、有限要素法は、要素数が多く大規模な流れ解析を行う場合、計算に莫大な時間を要することとなる。実問題に適用していくためには、計算の高速化が求められる。そこで、本年度は、計算の高速化を達成するために、昨年度作成したコードをベースに、GPGPU(General Purpose Graphics Processing Unit)を用いた並列計算のアルゴリズム開発と実装を行った。支配方程式には、非圧縮性Navier-Stokes方程式及び連続の式を用い、これらの支配方程式に対して安定化有限要素法(SUPG/.PSPG法)による離散化を行い、導かれた連立一次方程式の解法にGPBi-CG法を適用した。GPBi-CGの並列化には、NVIDIA社の統合開発環境CUDAと演算ライブラリ(cuBLAS、cuSPARSE)を用いた。GPUスパコンTSUBAMEを利用して高速並列計算によるシミュレーションを行った結果、マルチGPGPUを用いた計算の高速化に成功した。この成果は、第28回廃棄物資源循環学会研究発表会で発表を行った。 また、廃棄物埋立層の間隙構造解析に対しては、廃棄物試料のマイクロフォーカスX線CT画像を画像処理した後、パーシステントダイアグラムを計算し、間隙形状のキャラクタリゼーションを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していなかったマルチGPU計算による数値流体シミュレーションの高速化に時間の大部分をとられてしまった。しかし、計算の高速化が達成できたため、今後の研究がより効率的に進められると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果に基づき、数値シミュレーションにより得られた流体特性とパーシステントホモロジーにより抽出した間隙構造のデータとの相関の探索を推し進める。流体のダイナミクスと間隙形状との関係性を考察しやすいように、より単純な系での流体解析と幾何構造解析も予定している。さらに、トポロジカルな構造データを出発点とした新たな流体挙動予測モデルの定式化を試みたい。 なお、最終年度は、これまでの成果をとりまとめ、論文の執筆に取り掛かる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度、計算ワークステーションを購入する予定であったが、東京工業大学のTSUBAME共同利用サービスを利用して数値計算を行った。しかし、繁忙期は、ノードがうまっており、思ったように計算することができなかった。そこで、平成30年度は、共同利用サービスを申し込むとともに、ワークステーションを購入して、計算環境の整備を行う予定である。
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