本研究では、廃棄物最終処分場における埋立層間隙内の流れに着目して研究を行ってきた。これら流体の流体挙動は、埋立層間隙の複雑な幾何構造と密接な関係があり、流体挙動に大きく影響を及ぼしているものと考えられる。しかしながら、このような間隙の幾何構造を引き出すことは容易ではなく、間隙部分のどのような構造が流体特性を支配するのかは明らかでない。そこで、本研究では、間隙幾何構造の抽出方法としてパーシステントホモロジー群という位相幾何学の道具を用いて、この幾何構造と流体挙動の関係を明らかにすること目的としている。最終年度は以下の通り研究を行った。(1)ランダムに球を配置した模擬的な間隙構造を作成し、その流れ場においてNavier-Stokes方程式を支配方程式とした飽和流数値シミュレーションを実施するとともに、間隙構造に対してパーシステントホモロジーによる位相的データ解析を行った。これら得られた流体特性と間隙の幾何構造の相関について多変量解析を行った。(2)実際の廃棄物試料(数種類)を対象として、同様に流体計算とパーシステントホモロジーによる間隙構造解析を行い、流体特性と幾何構造との関係解明を試みた。また最終年度は、流体力学的特性として新たに壁面せん断応力を追加した。 これらのアプローチにより、間隙幾何構造と流体との関係性を明らかにできたことが、本研究の成果である。
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