研究課題/領域番号 |
16K00603
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
酒井 裕司 工学院大学, 先進工学部, 准教授 (40361513)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 塩類土壌 / 土壌改良 / 脱硫廃棄物 / コンクリート廃棄物 / 路盤材 / 酸性土壌 |
研究実績の概要 |
砂漠化土壌における石炭バイオブリケット燃焼灰、コンクリート廃棄物の土壌改良効果を検討するため、中国都市部の天津市でのコンクリート発生状況及び利用状況の調査を行った。また砂漠化土壌調査のため黄河中流域にある銀川市郊外での塩類土壌調査及び採取と共同研究者らとの脱硫廃棄物利用での土壌改良試験区の調査を行った。改良対象土壌となる塩類土壌の粒径などの物理性及びpH、EC、各種イオン濃度、交換性ナトリウム量(ESP)などの化学性分析を行った後、新規塩類土壌改良資材として、石炭バイオブリケット燃焼灰、コンクリート廃棄物を利用して塩類土壌改良効果を検討した。土壌改良剤としては、原料となる低品位炭中の硫黄、灰分組成の異なる石炭、バイオマス(トウモロコシ茎)、脱硫剤を混合後、高圧成型して作製したバイオブリケットの燃焼灰2種、セメント微粉末、コンクリート廃棄物(粒径別3種、路盤材)及び脱硫石膏を利用した。改良剤における施用量検討のため、各種改良剤におけるpH、EC、Ca溶出量の経時変化を検討した結果、コンクリート廃棄物はpH12以上、EC3dS/m以上と高い値を示し、それに対して路盤材はpH9~10、EC0.5dS/m以下と低い値を示したが、塩類土壌改良に効果的な交換性Ca溶出量では、脱硫石膏やコンクリート廃棄物と比較して約1/10であった。またCaを中心とした陽イオン及びECにおける溶出挙動において、小粒径であるほど高い値を示す傾向を確認した。上記改良剤を利用した塩類土壌改良試験では、pHにおいては脱硫石膏、石炭バイオブリケット燃焼灰施用時と比較して高かったが、EC、ESPにおいては減少改良効果を確認できた。さらに中国南部広州市郊外における酸性土壌地域の土壌及びバイオマス発生状況を調査し、土壌採取後に化学性分析を開始し、上記改良剤における酸性土壌改良についても検討を開始することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画では初年度は中国現地での塩類土壌採取及び塩類土壌改良効果の検討を行う計画であったが、当初の計画より中国での現地調査、改良試験が順調に進行したため、酸性土壌地域調査及び酸性土壌改良に関係する研究を開始出来たことから、当初の計画以上に進展していると判断をした。
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今後の研究の推進方策 |
塩類土壌改良に関係する研究は初年度成果を引き継ぎ、継続して各種改良剤(バイオブリケット燃焼灰、セメント微粉末、コンクリート廃棄物、路盤材)及び新規改良剤による改良効果を検討し最良の改良剤開発を進展させる。酸性土壌改良においては、より酸性化の深刻化した地域調査と上記改良剤での酸性土壌改良効果について検討を行う。また最終年度における実地での改良試験評価のために黄河中流域での改良試験実施例を調査する。さらに引き続き、脱硫廃棄物、コンクリート廃棄物の中国での発生状況や利用状況についての調査も行い、モデル構築に必要なデータ収集も行う予定である。
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