全ての調査地点の都内表層水には、薬剤耐性菌が検出された。薬剤耐性菌は二剤以上の抗菌剤に耐性があるものが半数以上で、スクリーニングした抗菌剤の中では、アンピシリンとスルバクタムの合剤、およびクラリスロマイシンに耐性を示すものが多かった。これらの薬剤は、抗菌スペクトラムが広いためよく利用されている上に、どちらも日本では25年以上利用されている歴史がある。更に、表層水中の薬剤耐性遺伝子を調べたところ、βラクタムに関する耐性遺伝子が多く検出された。これらは人の薬剤耐性で問題となっている主要なものである。以上の結果から、ヒトへの抗菌剤の利用が表層水中の薬剤耐性に反映されている事が示唆された。
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