研究課題/領域番号 |
16K00614
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
木之下 広幸 宮崎大学, 工学部, 准教授 (80295196)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リサイクル / GFRP / 透水性舗装ブロック / ろ過材 / 多孔質セラミックス |
研究実績の概要 |
(1)ゲリラ豪雨対策としての透水性舗装ブロックの開発 本研究のセラミックス製造方法では,粘土質マトリックスがガラス繊維により強化されるので,極めて高い気孔率と大きなサイズの気孔を有するセラミックスを作製できる.そのため一部のセラミックスは良好な透水性も示す.このことから,粘土と廃棄GFRPから作製したセラミックスをゲリラ豪雨対策としての透水性舗装ブロックにも応用できるものと考えられる. H29年度では,ガラス繊維を30%から60%(mass%)含有する4種類のGFRPを用いて,粘土とGFRPの混合率,GFRPの粉砕粒度および焼成温度を変えることにより様々なセラミックスを作製し,気孔率,透水性,圧縮強度及び曲げ強度について,ガラス繊維を含まない樹脂と粘土を混合焼成したセラミックスと比較することにより検討した.これらの結果から,透水性舗装ブロックの基準を満たすセラミックスの製造条件を明らかにした. (2)水浄化用濾過材の開発 粘土と粉砕したGFRPを混合・焼成したセラミックスの水質浄化材としての可能性について検討するために,粘土とGFRPの混合率及びサイズの異なる数種類のボール状試験片を作製し,メチレンブルーのカラムろ過試験を行い,セラミックスの色素吸着性能について検討した.その結果から,GFRPの混合率が高くなるにつれて色素吸着性能が高くなること,ろ材の粒径を小さくするほど色素吸着性能は高くなること,を明らかにした.また,還元焼成したセラミックスと,酸化焼成したセラミックスの色素吸着性能の違いについても検討した.その結果,還元焼成したセラミックスは酸化焼成したセラミックスに比べて高い色素吸着性能を有していることがわかった.さらに,セラミックの洗浄による色素吸着性能の回復についても検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・粘土とGFRPを混合焼成して得られるガラス繊維強化多孔質セラミックスの気孔率と強度との関係を明らかにした. ・粘土とGFRPを混合焼成することにより,透水性舗装ブロックが作製できることを明らかにした. ・粘土とGFRPを混合焼成して得られるガラス繊維強化多孔質セラミックスの高い色素吸着性を確認した. ・カラム式ろ過においては,セラミックろ材の粒径を小さくするほど色素吸着性能は高くなることがわかった. ・還元焼成したセラミックスは酸化焼成したセラミックスに比べて高い色素吸着性能を有していることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は以下のテーマを中心に研究を行う. (1)ゲリラ豪雨対策としての透水性舗装ブロックの開発:透水性舗装ブロックの作製とその実用化試験 (2)水浄化用濾過材の開発:ろ過前後のメチレンブルー水溶液中の様々なイオン濃度の測定,セラミックスの表面電位,比表面積の測定,以上の測定結果に基づいて,セラミックスの色素吸着性のメカニズムについて検討する.・セラミックスを酸化焼成した場合と還元焼成した場合のろ過性能の違いについて検討する.特に,浄化できる物質の違いについて検討する. (3)セラミックスのNOx吸着性能試験:カラム式濾過試験装置を用いて,セラミックスのNOx吸着性能試験を行う.そのほかに,セラミックスの吸音特性についても検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿中の論文の掲載料を支払う予定であったが,H29年度内には間に合わなかったため,次年度使用額が生じた. 今後の予算の使用計画については,変更はない.
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