[最終年度に実施した研究の成果] 越境輸送の影響を強く受ける長崎県平戸市で年間を通して捕集されたエアロゾルのδ66Znを測定した結果、全データの平均値(±2σ)は-0.11±0.065‰であり、中国大陸からの越境輸送及びローカルな発生源のZnにはδ66Zn に明確な違いはなく、いずれも負の値であることがわかった。次に宍道湖堆積物コアのδ66Znを測定した結果、δ66Znは+0.15~+0.27‰の正の値を示した。2成分エンドメンバーモデルを適用して、新たに堆積物に付加された人為起源Znのδ66Znを算出し、+0.13‰の値を得た。上記で得られた大気起源Znのδ66Znは-0.11‰と低いことから、宍道湖における堆積物上層部の人為起源Znは、主として下水処理水等の排水を発生源としており、中国大陸からの越境輸送による可能性は低いと評価された。
[研究期間全体を通じて実施した研究の成果] Zn汚染源となり得る自動車・道路粉じんとごみ焼却灰のδ66Znは、約+0.1‰の低い値を示し、下水処理水のδ66Znもそれらと同レベル(+0.05~0.11‰)であった。それに対して、越境輸送の影響を強く受ける長崎県平戸市で捕集されたエアロゾルのδ66Znは、負の値(-0.11±0.065‰)を示した。宍道湖堆積物コアのZn濃度とδ66Znから推定された人為起源Znのδ66Zn値は、+0.13‰であった。この値は、上記の大気起源Znのδ66Zn(-0.11‰)とは大きく異なり、下水処理水のδ66Zn(+0.05~+0.11‰)に類似していることから、宍道湖における堆積物上層部の人為起源Znは、主として下水処理水等の排水を発生源としており、中国大陸からの越境輸送の可能性は低いと評価された。
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