アジアの棚田景観が世界農業遺産に登録されるなど、水田の多面的機能が再評価されている。水田生態系の主要構成要素である草本植生の研究も行われているが、日本の水田草本植物の起源地とされる大陸部アジアの事例はほとんど知られていなかった。本研究では、ラオスの在来稲作水田において、農耕活動のもとで多様な草本植物が生育し、それらは「雑草」として認識されるのではなく、野菜として日常的に採集利用され、さらに移植栽培される場合のあることを明らかにした。本研究の成果は、二次的自然の管理やドメスティケーションの分野に新しい知見をもたらすものである。
|