研究課題/領域番号 |
16K00636
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
大藪 崇司 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 准教授 (70423902)
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研究分担者 |
岡田 準人 大阪産業大学, デザイン工学部, 講師 (20512502)
福井 亘 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60399128)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 半乾燥地 / ユーカリ / 植林 / ケニア / シンポジウム / ヒアリング / 成育調査 / 客員教員 |
研究実績の概要 |
ケニア半乾燥地でのユーカリ植林を支援する分布適地モデル構築と適正管理法に関する研究についての調査を実施した。今年度は、平成29年6月および平成30年3月にケニア共和国へ渡航し調査を行った。 第1回目の渡航では、これまで未調査であったケニアの西部を中心に調査を実施した。カウンターパートであるジョモ・ケニヤッタ農工大学のJohn B. M. Njoroge博士とともにナイロビからエルドレット、キタレ、キスム、ミゴリ、ナロクを経由する約1,300kmをレンタカーにて踏査した。また、ナクル国立公園およびカカメガ・フォレスト国立保護区における自然林の利用実態を行った。西部地域の植林地の分布状況は、ケニア内陸部のナイロビから東部方面にかけての状況に比較して、植生的に豊かで農作物や家畜の成長が良好であった。 以上、これまで2回にわたる広域調査の結果からユーカリ植林地が多く存在するとともに大企業の資本が入っておらず個人で営農を営んでいる海岸区域のキリフィ県にて農民へのヒアリング調査を実施することでJohn博士と調整を図った。その他、兵庫県立大学の海外客員教員として着任してもらうよう調整を行った。 平成29年12月10日から19日の10日間、海外客員教員としてJohn博士を招聘した。滞在中は、大学院でのケニアの自然および緑地管理に関する講義を行うとともに科研での成果を発表する一般公開シンポジウムを実施した。 第2回目の渡航では前述の予定に従いキリフィ県近くのムトワパ村に宿をとり、農家への各戸調査を実施した。地域で活動するボランティアリーダーに連絡を取り、調査に先立って招集し調査概要を説明の上、協力を承諾した者による先導を得て36農家へのヒアリング調査および成育状況調査を実施した。その他、John博士と今後の調査についての協議、同大学とのMOU締結の調整などを行い今年度の調査を終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、研究計画に則りケニア西部への広域調査を実施するとともに、前年度の広域調査と合わせ総合的に判断し、農家へのヒアリング調査を実施する対象地を絞ることができた。これにより、ユーカリ植林地の実態把握に繋がる有益なデータを収集することができた。さらに調査を実施していく中で、新たな課題として、流通システムに関する問題や植林木の維持管理手法に関する課題を得ることができた。一部の農家では、これらの課題に対して適切に対処している農家もあったが、多くの農家では情報不足・共有化されておらず、林産物の経済価値の損失や労働意欲の低減に繋がっていることが明らになった。 また、カウンターパートのJohn博士を兵庫県立大学の海外客員教員として招聘することができ、大学院の講義および一般公開シンポジウムを開催できたことで、ケニアに関する生きた情報を多くの人に伝え、関心をもってもらえる有益な機会となった。この海外客員教員は当初の研究計画では予定されていなかったが、研究計画の順調な進展と招聘教員としてのポストの空きがタイミング良く合ったため実現できた。 以上のことから、本研究課題についてはおおむね順調に進展していると評価するものである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に向けてこれまで得られた情報の解析を進め、次回渡航時にそれらの成果を現地農家を対象としたワークショップにより紹介できるよう調整を図っている。そのためにはデータの解析を8月ぐらいまでに終え、それらを携えて渡航しワークショップの開催に臨みたい。また、渡航の際には解析では解決できなかった問題について、追加して現地調査を行いさらなる研究の深化に繋げられるように段取りを図るものである。 また、上記課題を解決すべくこれまでに得られた流通システムに関する問題や植林木の維持管理手法に関する課題について追加調査を行うとともに、現地でのデモンストレーション植林地の造成など、具体的な解決策について持続可能な開発目標(SDGs)を考慮に入れながら実地での検証に関する枠組みを考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度の課題採択が10月と研究が遅れてスタートした影響により執行残が生じていたが、2017年度はカウンターパートのJohn博士の招聘、国内での一般公開シンポジウムの開催、現地農家ヒアリングに際しての人件費・謝金が生じたことにより、その額は初年度と比較して大幅に減少し、研究計画がおおむね順調に進展してきている。 使用計画については、次年度の現地でのワークショップ開催に充当すものとする。
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