研究課題/領域番号 |
16K00637
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研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
富田 瑞樹 東京情報大学, 総合情報学部, 准教授 (00397093)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海岸林 / 屋敷林 / 断片化 / 種子散布 / 低頻度大規模攪乱 / 更新 / 群集 |
研究実績の概要 |
本年度は,(1)仙台平野の研究対象範囲において,東北地方沖太平洋地震に起因する津波による攪乱前からパッチ状に分布していた屋敷林や,この津波によって分断化された海岸林を含む森林パッチの分布の再調査と,二時期目の森林パッチ図の作成のための再調査,ならびに,(2)研究対象範囲の森林パッチに生育する林冠および林床を構成する樹木を対象とした樹種の再調査,(3)本年度までに得られたデータの取りまとめを目的とした調査・研究を実施した.(1)については,前年度の検討結果を踏まえて調査対象範囲における森林パッチすべてを踏査し,その際に過去の空中写真と照合しながら林冠構成木の枯死や伐採による欠損状況を記録した.また,ドローンによる撮影が可能な海岸林などの沿岸部周辺においては,必要に応じて林冠の欠損状況を空撮することによって把握した.これらのデータを用いて二時期目の森林パッチ分布図の作成を検討中である.(2)については,(1)の森林パッチのすべての踏査の際にあわせて,林冠ならびに林床を構成する樹種の再調査を実施した.前回の調査結果の確認ならびに新たに加入した樹種が記録できたことから,津波浸水域における樹木種組成についての有意義なデータが得られた.(3)については,(2)で得られた調査結果の整理ならびに解析を進め,仙台市津波浸水域における,津波による自然攪乱ならびに復旧工事による人為攪乱後の樹木群集の種組成を整理した.また,これらの群集構造についての解析を進め,その成果を投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に,森林パッチの抽出について,衛星データの利用とほぼリアルタイムに近い状況での空中写真の利用を検討したが,それぞれ十分ではないことが判明した.また,これらの検討のために,林冠/林床における樹木の在・不在調査の時間が十分に取れなかった影響が継続しているため.
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今後の研究の推進方策 |
二時期目の森林パッチ図の作成に向けて,ほぼリアルタイムでの空中写真が不足する範囲については,現地での目視による確認とドローンを用いた空撮を次年度も実施することで,より精度の高い森林パッチ図の作成を検討する.また,高精度の森林パッチ図の作成のために,空撮には近赤外光を撮影可能なセンサーカメラを用いることを検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金が必要となる調査頻度が少なかったために初年度における次年度使用額の一部が繰り越された.これらについては,調査成果の確認や森林パッチ図作成のための調査頻度の増加ならびに調査機器等の購入のために使用する予定である.
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