稲田養魚の高い生産性を支えるメカニズムを解明するため、炭素窒素安定同位体比を用いて水田内の有機物フローを評価した。養魚水田は慣行水田に比べて動物性有機物の供給が大きかった。この養魚水田の動物性有機物は、魚(フナ)のふんによってかなりの程度説明されたが、養魚飼料の食べ残しのほうがより大きな割合を占めた。フナの餌に占める天然餌料の割合は一定程度あるものの、養魚飼料の貢献のほうがより大きかった。以上のことから、養魚水田生態系内部の食物連鎖が土壌肥沃化に一定の役割を果たすことが示された一方、系外から投入される養魚飼料が土壌の栄養状態により大きく作用し、本農法の高い生産性をもたらしていることがわかった。
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