研究課題/領域番号 |
16K00640
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
大橋 岳 中部大学, 人文学部, 講師 (40533592)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | チンパンジー / 里山 / ギニア / リベリア / 道具使用 / ユネスコ |
研究実績の概要 |
2018年2月から3月にかけて、ギニア及びリベリアで調査をおこなった。森に設置したビデオカメラトラップによって、昨年度からの動画データ(主に道具使用行動)を得た。技術や道具のバリエーションや可塑性、道具の運搬、季節性などを考えていくうえで重要な量的なデータを蓄積できた。 野生チンパンジーの生態を明らかにするだけでなく、彼らが絶滅しないように、いかに保全に寄与できるか、というのが、本研究課題の大きな柱だ。保護区でない地域における調査であるにもかかわらず、地域住民との関係もうまく構築でき、野生動物を守っていくという意識が醸成されてきている。長期調査をおこなってきたギニアからリベリアへと国境をこえて調査を展開しているが、単に日本人研究者が研究するだけでなく、ギニアとリベリア両国の研究者交流を今年度本格化することができた。両国の調査機関との綿密な研究連絡のあと、ギニアの国立大学所属の研究者とともにリベリアの森にて共同研究でき、その後、リベリアの関係者とともにギニア国内でのチンパンジー調査をおこなうことができた。国境地帯かつ地域住民の活用する里山的環境という、野生動物の保全体制が確立できていなかった地域において、新たな一歩を踏み出すことができた。 国際機関からの保全のアプローチも大きく進展した。2017年5月から7月までの3か月間、パリにあるユネスコ本部にEXPERTという身分で滞在した。おもにアフリカの大型類人猿の保全計画に関して取り組んだが、本研究課題の研究調査地についても過去のユネスコにおける書類を整理し、今後の保全計画について関係者と綿密な打ち合わせをすることができた。結果としてユネスコ本部のアフリカ担当者によるギニア共和国ボッソウ訪問が2017年12月に実現した。また、2018年3月にあらためてユネスコ本部を訪れ、2018年度の予定を打ち合わせすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおり、アフリカでのフィールドワークを実施できた。カメラトラップのエラーや故障で、撮影できなかったところもあったが、計画段階から、カメラトラップの一定割合での不具合は想定しており、設置方法やカメラの交換によって修正することができた。地域住民との関係、中央省庁との関係も良好に築けている。
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今後の研究の推進方策 |
西アフリカでのフィールドワークを継続し、野生動物の行動データ、および生息環境のデータを収集する。地域住民との関係を深めるとともに、リベリアおよびギニアの中央省庁と密に連絡をとり、保護区外に生息する野生動物の保全のあり方について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入において値引きがあり、39円を繰り越すことになった。翌年度、消耗品を購入する費用に充てたい。
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