昨年度までに実施した3Dカメラシステム、UAV、鳥類センサスにより記録した鳥類(カモメ類、ガン・カモ類等)を対象に、種類ごとの3次元上の位置、高度、速度のデータを整理した。飛翔数の多かった種類について、非パラメトリックな統計モデリング手法によって、それぞれの確率密度分布を構築したうえ、鳥類の生態的特徴との関連性を明らかにした。本研究で得られた確率密度分布やその構築手法により、鳥類の飛翔空間に存在するビル、風車、そのほかの建造物に対して、鳥類が利用する高度の次元も含め、飛翔に対するリスク評価を定量的に行うことが可能となった。 これまでカメラ撮影により観測した飛翔映像については、効率的に処理を進めることが研究を遂行する上で極めて重要であった。そのため、映像から飛翔部分を自動的に抽出する手法を検討し、複数の飛翔を同時に追跡すること、飛翔中に建造物等の背後を飛翔した場合も追跡を継続すること、認識した移動体については鳥とそれ以外を判別すること、を機能として保有するプログラムを開発した。このプログラムにより、カメラにより撮影した飛翔映像から鳥類の飛翔のみを自動的に抽出し、空間利用等の解析に用いることが可能となったことから、今後のカメラによる飛翔観測調査の適用性を広げる成果といえる。 UAVについては、UAVに搭載したインターバルカメラ、および高解像度のカメラを飛行中に同時に撮影することにより、水面上の鳥類種を認識する技術を構築した。インターバルカメラからSfMマッピングを行い得られたハビタットの3次元デジタル地図と、高解像度カメラを組み合わせて抽出した鳥類の分布位置を利用して一般化線形モデリングを行い、鳥類の分布と環境要因との関係を明らかにした。
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