研究課題/領域番号 |
16K00644
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
山田 貴延 北見工業大学, 工学部, 教授 (90174721)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コジェネレーション / 下水処理施設 / 潜熱蓄熱材 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度に当たる平成28年度においてはハイドレート化貯蔵に際してもっとも基本的な生成圧力容器内の状態量,すなわち圧力温度特性について把握する必要があり,そのための実験を中心に行った.生成時のホスト物質については過去に用いてきた砕氷を選定しており,とくに砕氷粒子径が圧力容器では0.3~0.5mmの範囲にそろえて使用することに努めた.実験においては今回の申請で導入できた低温恒温恒湿器にすべての生成容器一式を据え付けることができた結果,極めて安定した再現性が確保できた.このような基本的な測定環境条件の下,次にバイオガスを構成する二酸化炭素およびメタンについて,それぞれ主な生成特性について明らかにする実験を行った.その結果,ハイドレート化の際の生成時間は前者に比べて後者,すなわちメタンハイドレート作成に約2倍の経過時間を要することが明らかとなった.また,以上の実験と並行して,潜熱蓄熱システムの構築を前提に,今回選定した潜熱蓄熱材である酢酸ナトリウム三水和物を用いて,蓄放熱に関する基礎実験を企画した.とくに,下水処理過程での余剰熱となるコジェネレーション排熱をおおよそ70℃に仮定して,熱交換過程の予備実験をスタートさせた.とくに,熱交換方法として,放熱後に潜熱蓄熱材が固相化するため通常使用されるいわゆるプレート式等の熱交換器ではなく,伝熱面積を最大限確保するためのカプセル化を目指すこととした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧力容器の製作からこれを利用しての基本的なハイドレート化実験をおおむね完了することができた.つぎに,ゲストガスとしてまず二酸化炭素を用いてのハイドレート生成を0℃以下の低温条件下で段階的に試み,その際の生成容器内外の温度分布から生成時の熱授受量を概略測定してエネルギーバランスを明らかにした.この知見を元に,さらにゲストガスをメタンに置き換え,同様なエネルギーバランスの結果を導く予定であり,おおよそ順調に且つ計画通りに予定が進んでいて,変更すべき実験項目は当面無いと予想している.
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今後の研究の推進方策 |
バイオガスの主成分である二酸化炭素とメタンそれぞれについて,各ハイドレート化に必要な圧力・温度条件を吟味し,同条件における生成時の流出入に関するエネルギーバランスを詳細に調べている途上にあり,次年度はさらに伝熱解析の精度を上げてデータの解析を進める予定である.これと同時に,最終的には下水処理施設で排出される廃熱量を計算推定して,施設規模に応じて必要とされる潜熱蓄熱材の所要量について解析を行うことを併せて計画している.
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