研究課題/領域番号 |
16K00644
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
山田 貴延 北見工業大学, 工学部, 教授 (90174721)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コジェネレーション / 下水処理施設 / 潜熱蓄熱材 |
研究実績の概要 |
本研究の2年目に当たる平成29年度においては、コジェネレーションシステム排熱からの熱供給タイミングの平準化を図るため、前年度の知見をいかして潜熱蓄熱材交換槽適用の可能性について明らかにするため実験を実施した。潜熱蓄熱材の試料として、酢酸ナトリウム三水和物を選定し、高効率での熱交換特性を確保するためアルミニウム製小型容器にこれを封入して、以後の熱交換基礎実験を行った。実験の結果、当初の予想通り、融点以下での過冷却状態の頻度が極めて高いことを確認し、これを避けるための過冷却防止剤の必要性を明らかにした。このとき、本研究ではまず解放時の潜熱放出・回収割合を周囲温度を正確に変化させながら明らかにすることに努めた。その結果、潜熱回収を行った際には50%以上の潜熱量が回収できないことを示すことができた。また、潜熱蓄熱材を封入する小型容器の使用においては、潜熱解放のタイミングは容器自体の熱伝導率の大きさに影響を受けることから、容器自体の選定をさらに詳しく進める必要があることがわかった。なお、この点に関しては数値シミュレーションを実験と平行して実施しており、得られた結果の妥当性についても併せて解析結果に反映することができた。今後は以上の結果を踏まえて、次年度のコジェネレーションシステム総合性能を推定する場合のエネルギーバランスに関する計算に役立てたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに前年度の計画は、炭酸ガスハイドレートおよびメタンハイドレートいずれに対しても当初の予定通り研究が進行していることで、本年度分の研究計画に大きな修正点は生じず、計画通り潜熱蓄熱材による熱供給平準化のための基礎実験を順調に進めることができた。ただし、将来的なシステムの実用化を視野に入れた場合には、潜熱蓄熱材の過冷却状態を任意に制御する必要があると思われ、その観点からの基礎実験をさらに必要ではないかと感じている点で今後の計画をより明確に見据えたい思っている。
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今後の研究の推進方策 |
コジェネレーション機器からの発生エネルギー利用の平準化は、これまで通年にわたる電力利用の面からのみ重要視されてきた。しかし、システム稼働中の負荷変動が避けられないシステム構成や機器選択を行った場合にあっては、熱利用に対する平準化も同様に無視できないと推測される。本研究の大きな特徴である、システム排熱に対する潜熱蓄熱材の動作メカニズムをそのまま適用する可能性をより広げることが、下水処理施設全体を1つのエネルギー総合プラントと見なせる方策と考えられる。そのため、次年度に向けて高い応答性を有する排熱回収・再利用のための潜熱蓄放熱熱交換槽についての性能データーをさらに収集し解析を進めていきたいと考えている。
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