研究課題/領域番号 |
16K00647
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 泰岳 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (90324798)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高空風力発電 / カイト / 風車 |
研究実績の概要 |
カイト型テザー係留飛行ロボットのペイロードを向上するため,連凧式のカイトシステムを製作した.再度,新たにカイト型テザー係留飛行ロボットに搭載するマウントを設計・製作し,その能力実験を先に開発した連凧式のカイト型テザー係留飛行ロボットを用いて行った.まず,水平軸型風車をマウントに搭載し,これをカイト型テザー係留飛行ロボットを用いて上空へ持ち上げ,水平軸型風車が上空の風を受けて発電できることを確認した.しかし,上空の風が乱流であり,マウントが激しく上下左右に揺れ,風車の軸を風の方向に安定して合わせることができず,発電性能や安全性は低いことがわかり,これまで提案してきた縦軸型風車の有用性を再確認した. 次に,縦軸型風車をマウントに搭載し,これを上空へ係留することによる風力発電の実験を行った.無風時でも効率的に実験ができるよう,トラックでテザー係留飛行ロボットを牽引し,その牽引したテザー上に縦軸型風車を搭載したマウントを取り付けた.その結果,上空で風車が回転することを確認した.この風車の回転を用いて牽引しているトラックの荷台におかれた発電機をまわす実験も行ったが,最終的な回転トルクが足りず,発電量は小さかった.しかし,この実験によって次回の実験のための貴重な知見が得られている.カイト型飛行ロボットの開発と同時に,パラグライダー型テザー係留型飛行ロボットの開発のため,パラフォイルカイトを操作するときに必要な牽引力やストローク長を計測するためのテザー張力計を設計,開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の計画通り,連凧式のカイト型飛行ロボットとそのマウントを製作し,それに搭載した風車による風力発電を成功させている.しかし,想定していたよりも上空の風の乱れが大きく,安定した風力発電が困難であることがわかった.しかし,この実験から縦軸型風車の有用性が示唆されたことは有益であったと言える. カイト型テザー係留飛行ロボットと縦軸型風車を用いた風力発電の実験も行ったが,テザーを用いた風車の動力伝達機構の制御が難しく,期待されたほどの発電量を得られていない.しかし,今回の実験で,トラックの荷台に発電機を置き,牽引するカイトに風車をもちあげる事ができること,また風車自体は回転することが確認できた.また,この実験から縦軸型風車から発電機への動力伝達機構の改良検討を始めることができた. H28年度に作ったパラフォイルカイトの制御装置は残念ながらトルク不足および速度不足であり,十分な制御性能がなかったことがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
テザー係留飛行ロボットで持ち上げる縦軸型風車から地上に設置している発電機へ回転運動を伝達する機構をよりシンプルに改良することを予定している.これまでは縦軸型風車を横に倒して回転させ,その回転運動をループになったテザーで発電機へ伝達していた.現在,縦軸型風車を通常通り縦に回転させ,その回転運動をねじり運動としてワイヤーで地上まで伝達し,これをそのまま発電機に入力することで発電する機構を設計している.この方法はよりシンプルであるが,風車と発電機の間の張力を制御する必要はなく,より安定して動力伝達できることが期待できる.ただし,ワイヤーがねじれによって絡まないように材料を選定する必要がある. また,H29年度に作成したテザー張力計を用いて,パラフォイルカイト操作時の張力やストロークを計測し,新たにパラフォイルカイトの制御器を設計,製作し,自動制御器の作成を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
先述したとおり,風車の回転運動の伝達機構の改良が必要であることがわかり,新たな伝達機構の開発のための費用として利用することも考えられたが,残った金額が少ないため,次年度に繰り越し,次年度の予算と合わせて利用することが合理的であると判断した. 繰り越した分は新たな風車の回転運動の伝達機構の開発費用に充てる.
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