研究実績の概要 |
本研究は、農山漁村の活性化および環境保全の推進の観点から、地理情報システムを活用し、農業地域における太陽光発電の導入可能量を明らかにすることを目的とする。農業地域の最重要課題のひとつである耕作放棄地の有効利用に焦点をあてる。 本年度は、山梨県の耕作放棄地における太陽光発電の導入可能量を分析した。山梨県の農業集落は2010年農林業センサスに基づき、不定形の1,687地域に分割される。本分析では、定形のメッシュデータを適用し、山梨県をより詳細な4,500地域に分割した。これらのデータを組み合わせて、包含同定と面積割合同定を用いることによりメッシュ単位の1,774地域の耕作放棄地面積を算出した。このデータに基づき、太陽光発電の賦存量を算出した。太陽光発電の導入潜在量は、最大傾斜角度が20度未満かつ最大傾斜方向が南向き(南東・南・南西)の条件を満たし、自然公園地域・自然保全地域を除いた523地域のメッシュデータを対象とした。送電線から耕作放棄地までの距離に関する感度分析により215地域のメッシュデータを太陽光発電の導入可能量として抽出した。 分析の結果、太陽光発電の賦存量2,598MW、導入潜在量953MW、導入可能量378MWを明らかにした。さらに、年積算日射量のメッシュデータなどを用いて、太陽光発電の年間発電賦存量2,702GWh、年間発電潜在量998GWh、年間発電可能量394GWhを算出した。これらの年間発電量は山梨県の2014年の電力消費量6,120GWhに対して、44.1%、16.3%、6.4%にそれぞれ相当することがわかった。
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