研究課題/領域番号 |
16K00649
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
神 勝紀 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (40215166)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ジュース粕 / きのこ / 飼料 |
研究実績の概要 |
目的:本年度は,県内で多く排出されているニンジン,リンゴ,ブドウおよび野菜の搾汁粕について,培地原料としての可能性を調査する目的で,これらを含む培地を作成してヒラタケの栽培試験を行い,さらに得られた子実体の品質についても検討した。 方法:培地原料として,ニンジン,リンゴ、ブドウおよび野菜のジュース粕を準備した。ニンジン粕以外は搾汁工場から入手した。ニンジンの搾汁は冬から春にかけて行われるため,28年度は入手できず,研究室でニンジンを搾汁して得た。これら搾汁粕を2段階(25%と50%)の割合で培地中のコーンコブと置換して、対照区と併せて9試験培地を作成した。これら培地を用いて,ヒラタケ栽培の常法に従って栽培試験を実施した。栽培期間終了後に子実体収量と目視による子実体品質を記録した後,抗酸化能と総ポリフェノール含有量についてDPPH法とFolin-Ciocalteu法を用いて測定した。得られた廃培地は栄養価について評価された。 結果と考察:コーンコブの25%を搾汁粕で置換した場合,すべての区において子実体が得られた。野菜粕,リンゴ粕およびブドウ粕培地では栽培日数が延長する傾向があったが,ニンジン粕培地では逆に有意に短縮された。子実体の収量と品質には搾汁粕の有意な影響は見られなかった。また多くの区において抗酸化能と総ポリフェノール含量は対照区よりも増加する傾向があった。これに対してコーンコブの50%を搾汁粕で置換した場合、ニンジン粕とリンゴ粕培地で子実体は得られず,一方,野菜粕とブドウ粕培地では栽培日数は延長したものの子実体は得られ,しかもこれらの抗酸化能とTPCは増加した。廃培地の栄養価は一般的なヒラタケ培地よりも高く,特にニンジン粕廃培地の消化性が向上する傾向があった。栄養価に関する実験は継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,ジュース工場から搾汁粕を入手して利用する予定であったが,28年度はジュース工場における製造予定が変更になったことから入手が遅れ,特にニンジン粕は間に合わなかったために研究室で自作した。これが遅れの主たる理由である。
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今後の研究の推進方策 |
28年度に得られた結果から,培地に搾汁粕を添加すると子実体のポリフェノール含量が増加する可能性が見出されたので,29年度は搾汁粕添加培地の飼料化と並行して,子実体のポリフェノールについても検討を加える。 29年度に使用する粕(特にニンジン粕)については,今春大量に入手して冷蔵保存しているので,原料入手に関する問題はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅延に伴って,使用額を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度請求額と合わせて,28年度に予定していた栄養価の分析に使用する。
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