研究課題
県内の工場から排出されたジュース粕(葉物野菜,ニンジン,リンゴ,ブドウ)およびソバ殻を回収し,これらを添加したキノコ培地を作成して,各種キノコの栽培試験を行った。ヒラタケを用いた実験では,ほとんどの実験培地でキノコは成長の遅延なく,対照区と同等の良好な成長成績と子実体収量を示したが,ソバ殻添加区では子実体収量が減少した。子実体成分のうち,ポリフェノール含量と抗酸化能はソバ殻添加によって低下し,高ポリフェノールのブドウジュース粕添加によって殆ど影響されなかった。一方,この値は葉物野菜ジュース粕を添加したとき殆ど増加しなかったものの,抗酸化能は有意に増加していたことから,ポリフェノール以外の抗酸化成分が増加したことが考えられた。子実体に含まれるポリフェノールの成分について,高速液体クロマトグラフィーを用いて数種類のカラムで調査したが,特定できなかった。エリンギを用いた実験では,キノコ培地の栄養材および基材をニンジンジュース粕で置換した培地を作成して栽培試験を行った。その結果,置換する割合にもよるが,いずれの場合もキノコの栽培は可能であることが明らかになり,特にニンジンジュース粕と栄養材を置換した時は,栽培期間は殆ど延長しないが,収量が有意に増加し,最大で対照区より約40%増加することが明らかになった。そこで最も良好な成績を示した培地の構成で大規模なエリンギ栽培を行い,その廃培地を回収してサイレージ化した。このサイレージは,対照として用いたソルガムサイレージと比較して,可溶無窒素物が多く,繊維成分と乳酸含量が少なかったが,pHは十分に低かった。このニンジンジュース粕廃培地サイレージの消化率は,一般的な廃培地サイレージやソルガムサイレージと比較して有意に高く,また緬羊を用いて評価した嗜好性も高い傾向を示した。このエリンギを用いた実験結果は国際学会(SAADC2019)で発表した。
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Proceedings of the 7th International Conference on Sustainable Animal Agriculture for Developing Countries.
巻: 1 ページ: 134