研究課題/領域番号 |
16K00653
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 壮一 長崎大学, 工学研究科, 助教 (00304965)
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研究分担者 |
山口 朝彦 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (00284711)
馬越 孝道 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (30232888)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 排熱回収システム / 再生可能エネルギー / 熱交換器 |
研究実績の概要 |
小型有機ランキンサイクル(以下,ORC)のテストプラントを開発した.このテストプラントでは,ORCの主要構成要素である蒸発器,凝縮器,ポンプおよびタービンの温度と圧力を計測することが可能である.長崎県の小浜温泉を参考にして高温熱源の温度を95℃に設定し,空冷による低温熱源の温度を25℃に設定した.ORCの凝縮器には,加熱能力4.5kWのヒートポンプシステムの蒸発器を転用した.システムの設計流量と交換熱量に基づいて蒸発器を開発した.高温の熱水が蒸発器で冷媒と熱交換されると,蒸発器出口側での熱水の温度は66.9℃になる.このため,高温熱源の熱水の温度を再現するための恒温槽と熱水を再度95℃に加熱するための熱交換器を開発した.ORCの作動流体はR245faである.このテストプラントのタービンには,蒸気用減圧弁を代用した.蒸発器を通過した箇所にサイトグラスが設けられており,作動流体の相状態を確認することができる.液相の作動流体をポンプに流入させるため,凝縮器とポンプの間に気液分離器を設けた.ポンプの入口側にもサイトグラスが取り付けられており,ポンプに流入する作動流体の相状態を確認することができる.ORCの配管は全て断熱処理されている.予備実験を通して,作動流体の保存タンクからテストプラントへ任意の質量の作動流体を充填する方法を確立した.蒸発器の熱交換量から推定された作動流体の流量は0.31 L/minであった.サイトグラスでの観察から,液相の作動流体が蒸発器で蒸気に相変化することを確認した.このとき,蒸発器での交換熱量は870Wであった.また,凝縮器を通過した作動流体は液相になることを確認した.このとき,凝縮器の交換熱量は802Wであった.冷却ファンの消費電力を差し引くと,このテストプラントからは熱力学的に54Wの仕事率を取り出すことができることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度に計画していたテストプラントを,予算を前倒しして平成29年度に完成させた.このテストプラントには発電システムとしての実現可能性があることを実測値の結果に基づいて示した.
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今後の研究の推進方策 |
テストプラントにおいて作動流体と潤滑油の混合比を任意に調整できる機構を開発する.この混合比をORCの性能試験に関する条件として,小型有機ランキンサイクルの主要圧力,蒸発器と凝縮器の交換熱量,ポンプ動力,タービン出力などについて評価する.
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