研究実績の概要 |
2018年度は主に富士山(富士箱根伊豆国立公園),三陸沿岸部(三陸復興国立公園),白神山地(世界遺産),尾瀬(尾瀬国立公園)を対象地として取り上げて研究活動を展開した。富士山では,まず,神聖性の阻害要因の一つと考えられる混雑を緩和するために混雑予想カレンダーの活用の検討を行った(山本,2018a)。また,国立公園の管理,計画では協働を通した目標像の共有は必要不可欠であり,その方法論や論点を整理した(山本,2019)。三陸沿岸部では,石巻市において展開されるダークツーリズムの課題と可能性を論考し,語り部ガイドの重要性についても指摘した(佐々木薫子他,2018)。街の個性や魅力を伝える上でガイドの役割が重要であることは内陸でも同様であり(地本他,2018;Chimoto et al.,2018),東北の観光復興を考える際の論点の一つと考えられた(佐々木啓他,2018b)。しかし,東日本大震災以降,三陸沿岸部では復旧・復興事業による自然環境,地形の改変が進んでおり,流域全体の繋がりを考慮し(佐々木啓他,2018a),里山里海のライフスタイルと危機対応能力(山本他,2018)を活かした復興の取り組みが必要と考えられた。白神山地では,ビジターセンターを環境教育施設として位置づけ,保護地域の管理に貢献できる方法を検討し(Sasaki et al.,2018;佐々木啓他,2018b),尾瀬では,シカによる尾瀬湿原への影響への対策,管理について来訪者の意向の取り込みを企図した調査を行った(山本,2018b)。
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