インジウムやテルル、カドミウムを利用する第2世代のPVシステムへのスムーズなシフトは予想外に難航し、2013年において世界のPVシステムの約20%を生産してきた日本のメーカーの多くは価格競争の点で困難を極めるとの観点から、第2世代PVシステムから撤退することを宣言した。現在世界の商業第1世代PVシステムの90%以上を占める結晶シリコン系太陽電池(Crystalline Silicon Wafer-based Solar Photovoltaics)による大規模な電力生産に頼らざるを得ない状態がかなり長期にわたって継続すると予想されている。結晶シリコン系太陽電池の自立可能性の総合評価、特に大規模電力生産を試みる場合において銀の必要量をいくつかのシナリオを仮定して推定した。さらに、銀の需要・供給量の展望ならびに銀リサイクルの規模の可能性、またインジウム・テルル・銅・アルミニウムへの代替技術についても検討した。2017年世界電力需要の5%・10%・15%・20%・30%生産を6通りの技術革新のシナリオとともに検討し、銀の必要量を次の地理的・技術的・経済的パラメータを利用して推定した:(1) 総電力消費に占めるPVシステムによる電力消費の割合; (2) PVで供給される電力の割合;電力需要; (3) 送電ロスなどを除いて最終的に利用できる電力の割合; (4) PVパネル単位面積当たりのワット数; (5) 土地の年平均日射照度; PVパネルの平均電力変換効率; (6)インストールPVパネルの1ワット当たりの銀の必要量。これらの成果は、2020年にSpringerから眞弓浩三の単著として出版される(契約済み)Sustainable Energy and Economics in an Aging Population: Lessons from Japanの中で利用する。
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