本研究は、海域東南アジアにおいてボランタリーな漁民組織がいかに地域の共有資源(ローカルコモンズ)を創出しているのかを明らかにすることを目的とした。特に閉鎖性の内湾におけるBitay(垂下式カキ養殖)に従事するボランタリーな漁民組織に着目した。この組織は国際環境団体によるマングローブ植林事業の下請けとして組織され、時に大きな犠牲(sakrificio)を払ったと語られる困難なBitayの共同利用管理の経験を経て、内部的には生活互助の拡充を行い、外部的には事業の多角化に乗り出し、今日複数のローカルコモンズを創出するに至っているのである。
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