研究課題/領域番号 |
16K00700
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
樋口 孝之 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70375608)
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研究分担者 |
渡邉 慎二 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40770095)
小野 健太 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70361409)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インダストリアルデザイン / デザイン史 / オーラル・ヒストリー / 音響製品 / インハウスデザイン |
研究実績の概要 |
本研究は、口述資料を活用したID(インダストリアルデザイン)文化史研究の伸展に向けて、口述資料収集のための有効な方法論、資料の分析と記述の方法を導出することを目的とする。あわせて、文書資料と口述資料を連関させた調査を実施し、その検証を通してID 文化の解釈を深耕する有効な方法論を導出することを目指すものである。 平成29年度は、まず前年度に引き続いて文書資料の収集を行った。1960年代のAV製品ならびに企業インハウスデザイン部門の活動について資料を収集した。次に、口述資料採録を実施するにあたり、その方法論を定め、また、調査同意、公開範囲の確認、個人情報保護の観点について検討を進めた。そして、本年度は設定したAV製品を対象とする口述資料採録を実施するに先立ち、企業インハウスデザイン部門の活動ならびに1960年代~1970年代のID領域の動き全般を聞き取る調査を実施した。その調査結果をオーラルヒストリーとして記録化するとともに、実施した調査方法の検証を行った。また、本研究においてインフォーマントとなるデザイナーOBに接触し調査への協力関係の構築を進めた。 口述資料採録の調査方法を検討し、1960年代~1970年代のID文化史について文書資料と口述資料を連関させた調査を実施するなかで、聞き取りの進め方や記録の方法についての課題を得た。それらを検証し、次年度以降の調査に向けて調査方法を改良した。特定の対象としてAV製品を主眼にとしながらも、インフォーマントの記憶ならびに話の展開にあわせて調査内容をID活動を広く聞き取るように再計画を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では国内外の状況を調べるため日本の資料と主要な輸出市場として米国の資料を調査するものとしており、当該年度に実施予定としていた米国における資料調査ならびに研究者との研究ミーティングを次年度に繰り延べた。
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今後の研究の推進方策 |
複数の企業に関しインハウスデザイン部門に所属した元デザイナーへ口述資料採録を実施する。また、今後は同一企業においてインフォーマントを個人から複数のデザイナーへと拡大する。主眼とするAV製品についての調査を進めるとともに、別種の製品、また、ID活動全体の聞き取りを進める。前年度に実施できなかった米国における資料調査ならびに研究者との研究ミーティングを実施する。国内外のデザイン分野においてオーラルヒストリー調査の事例が少しずつ増えており、調査方法について情報収集を進める。研究助成期間最終年度として、関係者との研究会を実施し、総括として研究目的とする方法論の導出をはかり成果発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費において調査用機材の購入を調査方法の策定後に選定し直して購入するものとして次年度に購入することとした。当該年度に実施予定の米国における資料調査ならびに研究者との研究ミーティングを次年度に繰り延べた。実施した調査のかねあいから、実施にかかる経費、データ整理、文字起こし等の経費が予定より少なくなった。以上により次年度使用額が生じた。 次年度には、繰り越しとなった口述資料調査を実施していくなかで当初に計上した経費を使用していく。また、再計画した調査に合わせて調査用機材を購入する。繰り延べした米国における資料調査を実施する。合わせて、一部使用内訳を変更して、調査進行で分かってきた国内外のデザインに関するオーラルヒストリー調査の情報を取得するため、研究ミーティング実施のための旅費を計上する。
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