これまでの日本の伝統工芸に関する研究は、職人、行政の連携を視野に入れることなく、工芸史、美術史の観点で伝統技法の継承について論じられ、工芸が生活に根ざして誕生し人々の暮らしの中で産業として発展して来たという側面からの検証が抜け落ちていた。今回は、伝統工芸工房での実際のものづくりに即して技法と図案との関連性について考察するとともに、素材と形態との関係、技法と機能性との連関について、工芸技法とデザインの実践を軸にしながら検証し、随時撮影を繰り返しながら記録を充実させた。多くが分業で行なわれるという伝統工芸の特質に着目し、工程の連携、商品化への道筋を俯瞰的に捉え、表現の展開について明らかにした。
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