本研究は、同質性の高い学習者間では得られにくいメタ学習の誘発を目指し、「異なる世代間の協働学習」に着目し、その学習効果を検証し学習デザイン上の要諦と今後の可能性を示すことを目的として実施した。 (1)「大学生×児童×働く親」の協働学習プログラム (2016年度~2017年度) ICTを活用した「大学生×児童 ×働く親」の三者間での協働学習プログラム(児童が大学生のサポートを得ながらタブレット端末を用いて、親や大学を取材し、記事づくりやプレゼンテーションを行う)を協力企業と企画・実施した。このプログラムには、キャリア教育、表現教育、ICT活用の側面があり、本取り組みの中では、異年齢間での協働学習における大型タブレット端末の有効性が確認できたとともに、多重知能理論(Multiple Intelligence:MI)にもとづく「MIテスト」の結果からワークショップ前後での学生の「言語的知能(linguistic)」の上昇傾向等が確認できた。(1)の取り組みについては、最終年度(2018年度)に、ICT活用の観点、学生側の学習効果の観点で再整理し、学会・研究会で発表した。 (2)越境型の協働学習に関する研究(2016年度~2018年度) 初等教育、中等教育、国際交流、異業種交流等での協働学習の取り組み事例を取材し、大学での教育実践と(1)の内容を含めて、、単著『多文化共生社会における協働学習』(学文社、2018)にまとめた。また、最終年度(2018年度)では、越境型の協働学習の対象を広げ、所属先の異なる教員間の協働学習、児童出版界が国際間で行っている協働学習について取材を進めた。引き続き、メタ学習を誘発する越境型の協働学習について研究を継続し、大学教育や社会人教育につなげていくことを構想している。
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