防災地図のカラーユニバーサルデザインの研究だが、コロナのために研究学会がオンライン大会となり満足に発表することができなかった。特に国際学会での発表ができなかったことが惜しまれる。そんな中でオンライン上でのアンケート方式による研究は2本と進んだ。以前よりカラーユニバーサルデザイン機構に協力者を求め、少数派の色覚の被験者を数多く得ることができた。 今回は色弱者の協力者に自由に絵を書くことでその特性を調べるという新しい試みがなされた。似て見える色が異なることを詳細に調べることができ、また色に対する好みを聞くこともできた。このような地道な試みが、色覚の多様性の多彩な側面を浮き彫りにすることがわかった。20人に一人と少数ではあるが確実に存在する色覚の多様性を明らかにすることで、防災地図をより安全に活用することができる。さらに今回は実験を色弱者本人が自ら行ったことで色弱者から見た多数派の世界という新しい試みができた。この実験は色弱者が自分には同じ色に見える色の組み合わせを測色することでどれくらい数値で離れて見えているかを調べるものである。多数派からは特に目新しい点は見られないが色弱者からは多数派の感覚を理解する一助となる。 もう一つの研究は色弱者自らが石原表を作成するという試みである。これは石原表には多数派が読みにくく色弱者が読みやすい表があり、これをさらに新しく作ってみるという企画である。これをうまく作成するには、背景となるところにまだら状のパターンが必要とされる。多数派は赤に対する感受性は高いがゆえにあるパターンが読めない傾向があった。
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