研究課題/領域番号 |
16K00722
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
澤谷 由里子 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (60708220)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サービスデザイン / イノベーションマネジメント / デザイン思考 |
研究実績の概要 |
情報技術の浸透によって製造業においても新しいサービス事業が創出されている。本研究は、サービスデザインと起業家手法を統合することによって、技術者が主体となりサービスイノベーションを創出する方法論の構築を目的とする。具体的には、先進的な製造業のサービス化事例および文献調査によって、1.サービスイノベーションを生み出すための仕組み(組織・手法・プロセス)を抽出する。サービスデザインと起業家手法を基礎に、技術革新と社会変化を結びつけ未来の顧客価値を創造する 2.未来創造型サービスデザイン方法論を構築する。さらに、3.導出された方法論をワークショップで実践し、有効性・問題点の明確化を行なう。結果として我が国の大学や製造業における適応の方針を明示する。 初年度は、経営学、技術経営、イノベーション、サービスサイエンス研究等の製造業のサービス化およびサービスイノベーション、サービスデザイン、起業家手法に関する文献を調査した。サービスイノベーションに関する文献調査では、特にイノベーション創出のための仕組みに焦点をあてイノベーションマネジメントの理論的枠組みとして整理した。 次に、サービスイノベーションを創出した製造業の先進的な事例を調査した。具体的には、サービスイノベーションを生み出すための仕組み(組織・手法・プロセス)に関して、情報通信と電気機械産業を対象とし、日本および海外の先進的な取り組みを実施している企業を対象に、イノベーション創出のための仕組みに関してインタビュー調査を実施した。これらの分析成果については、今後学会等で発表し意見交換を実施する。 さらに、現在Stanford大学と共同研究を行っている未来創造型サービスデザイン方法論を基本モデルとして、方法論の改善・新手法の開発を行い、大学・企業において方法論を施行し、検証・改良している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度行ったサービスイノベーションに関する文献調査では、特にイノベーション創出のための仕組みに焦点をあてイノベーションマネジメントの理論的枠組みとして整理した。また、日本および海外の先進的な取り組みを実施している企業を対象に、イノベーション創出のための仕組みに関してインタビュー調査を実施し分析した。具体的には、研究開発期間の異なる情報通信と電気機械産業を対象とし、研究開発におけるイノベーション創出のための仕組みに焦点をあて調査した。企業におけるイノベーションに関する人材および組織、それらのスキル領域について調査したところ、サービス化度合いが高い製造業の製品開発において、ユーザー体験のデザインおよびサービスシステムのデザイン担当者が存在し、意思決定をリードすることが示された。これらの成果については、今後学会等で発表し意見交換を実施する。 さらに、企業において顧客・市場との価値共創の仕組みをどのようにデザインしていくのか、それらの活動がどのように複合的に実施されているか、時間経過と共にどのように変化していくか等について、事例を収集し分析した。研究会を実施し意見交換を実施した。これらのインプットを得て、多様なステークホルダーとの価値共創による研究者・技術者主体のイノベーション創出モデルを具現化していく。
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今後の研究の推進方策 |
Stanford大学と共同研究を行っている未来創造型サービスデザイン方法論を基本モデルとして、文部科学省グローバルアントレプレナー育成促進事業において現在実施している問題発見・解決・ビジネスモデル・プランの方法論に関する調査を分析し、課題を整理する。これらの調査を基礎に、方法論の改善・新手法の開発を行う。 また、大学・共同研究実施中の企業を中心に方法論を施行し、検証・改良する。これらによって、方法論を体系化するとともに、方法論の活用を目指した普及も進める。さらに、大学を中心とする産学官連携チームおよびインタビュー調査を実施した企業に対して、方法論を活用したワークショップを実施し、整理したサービスイノベーションを生み出すための仕組みおよび未来創造型サービスデザイン方法論の有効性・問題点を明らかにする。これらの成果は、学会・研究会等で公開し意見交換を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査のための旅費等で予算を上回ったため、20万円前倒しをし、その差が出たため。
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次年度使用額の使用計画 |
差額は、H29年度の研究費として、当初予定していた企業調査や方法論の開発・検証等に使用する。
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