研究課題/領域番号 |
16K00733
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
片山 徹也 長崎県立大学, 情報システム学部, 准教授 (00612805)
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研究分担者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究院, 名誉教授 (50095907)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 色彩情報 / タブレット / アクセシビリティ / 疲労評価 / VDT / 文字色 / 背景色 / ユーザビリティ |
研究実績の概要 |
本研究はVDT(視覚表示端末)の一つであるタブレット端末に着目し、使いやすさやアクセシビリティの向上と疲労軽減に有効な文字色と背景色の色彩条件を検討することを目的とする。 平成28年度は、若年者及び中高年者を対象にスマートフォンやタブレット端末の所有状況、使用時間、使用目的、使用時の心身の症状、画面閲覧時に感じる問題点を調査した。この実態調査の結果は、人間-生活環境系学会大会第41回人間-生活環境系シンポジウム及び2017年度日本家政学会九州支部第63回大会にて発表した。 平成29年度は、大学生を対象に文字色と背景色の異なるタブレット端末画面を用いた被験者実験(文字探索課題)を実施し、測定データの集計及び分析を行った。大学生17名を対象に、タブレット端末画面の背景色が文章閲覧時の可読性や効率性に及ぼす影響について分析した。色相と輝度が異なる背景色18色を用い、1配色につき文章表示画面を35画面設定した。タブレット端末画面に表示された文章から指定されたひらがなの個数を数え、回答の数字をタップ入力する文字探索課題を実施した。その結果、背景色が無彩色及び緑、赤、青の各色相では、高輝度より低輝度において正答所要時間は有意に短かった。陽画と陰画の表示モードを比較した場合、陽画表示より陰画表示の正答所要時間は有意に短く、正答率は有意に高かった。黒や低輝度の背景色を用いた陰画表示の配色は、タブレット端末の文章閲覧において可読性及び効率性を向上させる可能性が示唆された。 平成30年度は、被験者実験の結果について「タブレット端末画面の背景色が可読性に及ぼす影響」として人間-生活環境系学会大会第42回人間-生活環境系シンポジウムにて発表した。また、これまでの研究により得られた知見をまとめた論文2本を人間-生活環境系学会誌「人間と生活」に投稿した(平成30年3月時点審査中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに実施した実験結果の集計、分析及び考察に時間を要し、研究成果の学会発表及び論文投稿の時期が予定より遅れ、平成30年度3月時点において投稿論文の審査が終了しなかった。これまでの研究におけるデータと成果を取りまとめ、それらを公表するための期間として研究期間を1年間延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間におけるタブレット端末に利用に関する調査結果及び文章閲覧の被験者実験結果に基づき、無彩色及び有彩色の背景色による文字表示画面において、作業効率を向上させ、身体的疲労度や心理的負担を軽減する色彩条件を導出するとともに、タブレット端末による情報閲覧における快適な視環境整備のための推奨条件を研究成果として平成31年度に公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成31年度は研究成果の発表として、関連諸学会にて発表するための旅費交通費、論文投稿及び掲載費用等の支出を予定している。
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