後期高齢者のQOL向上のためのデザインを行う上で、高齢者の歩行特性を知ることがますます重要になっており、そのためには、歩行時の3次元動作や動線のデータを収集し、分析することが必要である。しかし、現状のモーションキャプチャーは実験環境の整ったラボで行うこと前提としている。そのため、ほとんどの三次元動作データは比較的若い健常者のものである。後期高齢者の歩行データを居住地域に近い公的施設で収集可能にするため、シニア向け携行型歩行動作・動線追跡システム開発を目指した。 後期高齢者の歩行データを収集するためには、実験者が、比較的集まりやすい居住地域の福祉施設などに出向き、行えるようにすることが望ましい。その実現のためには、①実験機器を携行できるようにすること②着衣の上からでも測定機器を装着できること③限られた時間で、複数の被験者のデータ収集が可能なこと④計測データをラボに無線通信により集積すること…が必要である。そこで、複数の関節角度を同時計測できる関節計測モジュール(平成25~27年度科研費研究で開発)をベースに、新たに開発した動線追跡機能と組み合わせ、実験者が携行し、着衣の上からでも装着でき、携帯端末を活用することで、複数の被験者のデータ収集を可能にするシステムデザインを試みた。
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