研究課題/領域番号 |
16K00738
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
日景 弥生 弘前大学, 教育学部, 教授 (10142829)
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研究分担者 |
青木 香保里 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (00258683)
志村 結美 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (00403767)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 家庭科教員 / 教師力 / キャリア形成 |
研究実績の概要 |
家庭科教員の教師力向上のためのキャリア形成プログラムを提案するために、平成28年度は教員養成系大学・学部における教師力育成プログラムと大学生の教師力の調査および、教師力にかかる教員免許法や教員研修等の変遷について調査した。 1)教員養成系大学・学部における教師力育成プログラムと大学生の教師力の調査 教師力は、「教師の資質」を中核にし、「授業準備・実践の力」「児童理解の力」「学級経営・教室運営の力」「社会変化への対応の力」が相互に関連していることが明らかになった。大学生が行う教育実習(以下、実習)では、「授業準備・実践の力」に含まれる「教材研究力」が「授業構成力」や「授業展開力」の育成・向上に反映することが示唆された。さらに、多くの実習を行うことより、1つの実習を徹底的に行うこと、つまり実習後の評価・省察と、それを踏まえた再度の実践・省察・評価が大学生の教師力を向上させることが推察された。 2)教師力にかかる教員免許法や教員研修等の変遷の調査 教員免許法は、1949年「教育職員免許法」成立により、教員の資質と能力は法律で定められた。その後、現行の教育職員免許法の改正に至るまで「教職に関する専門科目」「教科に関する専門科目」の最低修得単位数の変化が見られ、1998年改正教育職員免許法を境として「教科に関する専門科目」の最低単位数は半減し、現在に至っている。家庭科教員研修は、戦後の教育改革において教員再教育・現職教育施策の計画と実行、IFELによる中核となる指導者養成などに始まり、旧文部省(現:文部科学省)や都道府県による現職教員の研修、教員免許状更新講習など多種多様な研修が展開されてきた。一方で、家庭科教員の採用と配置は教科単位数の減少と相まって一層の困難を抱えており、教師力向上には研修の充実が急務であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、①教員養成系大学・学部における教師力育成プログラムと大学生の教師力の調査、②教師力にかかる教員免許法や教員研修等の変遷の調査を予定し、いずれもほぼ予定通りに遂行され成果がみられている。ただし、①の大学生の教師力の調査は、家庭科教員を目指す学生が少なく、それによりサンプル数が少ないため、量的なデータ取得とその分析は難しいことから、量的データ取得もしつつ質的データの取得と分析を加えた。 以上のことから、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度に引き続き、教員養成系大学・学部における教師力育成プログラムと大学生の教師力の調査、②教師力にかかる教員免許法や教員研修等の変遷の調査を行うとともに、③都道府県教育委員会における教員研修等の調査、④キャリアの異なる家庭科教員に指導された生徒の家庭観等の調査、⑤キャリアの異なる家庭科教員の教師力に関する調査を計画している。 ①は、調査対象を確定し、平成28年度の成果に検証を含めた調査を開始している。②はより詳細な分析を行うとともに、そこで得られた結果が③の教員研修等の調査に生かせるようにしたいと考えている。④は調査をお引き受けくださる対象校が見当たらず難航している。⑤は研究代表者と共同研究者が居住している県や市の教育委員会に調査をしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は当初予定していたサンプル数が少なくなり、データ入力等の謝金が低く抑えられたことなどにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、教員研修等の調査を行うため、トナー・用紙などの物品費やデータ入力のための謝金等に充てる。
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