研究課題/領域番号 |
16K00739
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
石垣 和恵 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (20748941)
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研究分担者 |
村山 良之 山形大学, 大学院教育実践研究科, 教授 (10210072)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 家庭科 / 防災 / 授業研究 / 高等学校 / 中学校 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、前年度までに作成した教育プログラムをブラッシュアップした修正教育プログラムに基づく授業実施並びにその教育効果検証と教育プログラムのさらなるブラッシュアップを行った。 本教育プログラムは3時間の単元構成で、①自然災害発生時の対応と被災後の生活とその課題,②避難所生活簡易体験から考える人の多様性と共生社会,③災害時の食事とローリングストック法を用いた食料備蓄計画である。 平成30年度に協力が得られたのは山形県内の高等学校2校であり、授業前後の意識調査と本研究で提案する授業を実施した。平成29年度から継続して授業協力いただいたA高校は4クラス、新規に協力いただいたB高校では5クラスで、共に「家庭基礎」履修の1年生が対象であった。A高校では他のクラスは「家庭総合」を1年生と2年生の2か年で履修しており、「家庭総合」履修クラスでは平成31年度に2年次で本教育プログラムを実施する予定である。これは、授業者とのカンファレンスにおいて、提案している本教育プログラムの授業は衣食住の生活について学習した後に、家庭科学習の総まとめとして位置づけると学習効果が大きいだろうと判断したためである。なお、この高校2校の調査結果は、平成31年度に学会発表を予定している。 また、本教育プログラムの検討ならびに普及を目的とした「家庭科から発信する防災教育研修会」を、中学校並びに高等学校の教員対象に2回実施(平成30年8月,平成31年3月)した。これにより、中学校2校から平成31年度の研究協力の承諾を得ることができた。家庭科の学習に防災の視点を取り入れる指導指導は、未だ家庭科教員の理解が得られているとは言えない状況であるが、研修会を通して具体的な授業事例の発信をすることが普及に効果的であることが示されたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終年度である平成30年度は、1)修正教育プログラムに基づく授業実践並びにその教育効果検証とブラッシュアップ、2)最終教育プログラムの論文化、3)教育プログラムの配信を計画し、次のように実施した。 まず、1)修正教育プログラムに基づく授業実践並びにその教育効果検証とブラッシュアップは、①平成29年度実施により改良を行った修正教育プログラムの有効性を検証するため、高等学校の研究協力校2校で本教育プログラムによる授業を実施した。同時に生徒対象に「家庭科学習前後の意識と実態調査」を行い、授業前後の防災に対する意識と実態を明らかにした。生活技能自己評価、生活に関する知識・技能習得意欲、家庭科学習意欲についても調査することを検討したが、質問紙調査の回答時間が確保できないため削除した。②対照校として、本教育プログラムを実施しない学校での「家庭科学習前後の意識と実態調査」実施を検討したが、調査協力校が得られず比較検証は行えていない。③中学校の研究協力校が得られずに中学校での授業実施と中学生対象の「家庭科学習前後の意識と実態調査」は実施できなかった。この点が、本研究が計画通りに進められていなかった最大の理由である。同様の理由で2)最終教育プログラムの論文化と、3)教育プログラムの配信、は遅れており、平成31年度に実施予定である。 そこで、研究協力校を募ることと本教育プログラムの普及を目的に開催した「家庭科から発信する防災教育研修会」(2回開催)で、本研究により開発した教育プログラムを提示したところ、中学校の研究協力校2校を確保することができた。研究協力校を確保する方策として、既存の家庭科関連研修会受講者に指導例として提示したが、協力者を得ることができなかったため、独自の研修会を企画実施したものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、防災の視点を取り入れた中学校・高等学校の家庭科教育プログラムの開発を目的としている。しかし、これまで中学校での研究協力が得られず、本教育プログラムの教育効果を検証することができなかったため、平成31年度まで延長して研究を進めることとした。 平成31年度は、以下のように進める。第一に、修正教育プログラムに基づく高等学校家庭科での授業実施と教育効果検証により、教育プログラムのさらなる評価・修正を行う。研究協力校は平成30年度実施の2校(山形県内の進学校・進路多様校)である。教育効果検証のための生徒対象「学習前後の意識と実態調査」は質問項目を精査し、回答者の負担感が少ないものへ修正を行う。 第二に中学校での本教育プログラムの授業実施と教育効果検証を行う。研究協力校は山形県内の2校である。なお、このうち1校では既に独自の指導計画で防災の視点を取り入れた家庭科学習を進めているため、本教育プログラムの指導内容3時間を追加で組み入れた指導計画として授業実施予定である。 第三に本教育プログラムの普及と研究協力校をさらに募ることを目的に、「家庭科から発信する防災教育研修会」を企画・開催する。研修会の形式は、授業の進め方がイメージしやすいように模擬授業の形式を取り入れる。 第四に本教育プログラムの普及を図るため、普通教室でも授業可能にするため写真パネルなどの視覚教材と本教育プログラムの授業実施の手引き作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では中学校・高等学校家庭科教育プログラムの開発を目的としている。しかし、これまで中学校の研究協力校が得られず、本教育プログラムの実施・教育効果検証ができなかった。そのため、期間を延長して研究継続をすることにした。 平成31年度は中学校での研究遂行と教育プログラムの普及を図るための教材・授業実施の手引き作成を行う。
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