本研究では、防災に関する教育を継続的に学校教育として行うために、中学校・高等学校家庭科全領域に防災の視点を取り入れた教育プログラムの開発を目的とした。さらにその教育プログラムを実践し、教育効果を検証するとともにその普及をめざした。 令和元年度は予定した研究期間を延長して研究継続した。本研究で開発した教育プログラムの授業実践協力をする中学校が見つからなかったことが、研究期間延長の主な理由である。そこで、平成30年3月に中学校家庭科教員も対象とした研修会を開催し研究協力を求め、2名の中学校家庭科教員から内諾を得たところであるが、最終的には授業実践に至っていない。 そのため、今年度の研究の方向性を高校での授業実践および受講した高校生の意識調査を踏まえた教育プログラム改良と教育プログラムの普及とした。 教育プログラム改良は、令和2年度は山形県内高校2校の授業実践協力が得られたので、授業実践協力を得ている高校教員の意見等をとり入れ、教育プログラムのブラッシュアップを行うことができた。改良した教材は、「防災の視点を取り入れた家庭科学習の手引き」(全28頁)として令和2年3月発行した。掲載している教材資料は山形県内の地震発生状況を取り上げるなど地元密着型の手引書であり、山形県内の全高校並びに中学校への寄贈を予定している。今後はさらに教材を利用しやすくするため、ホームページからの発信を計画している。 開発した教育プログラム普及の点では、山形県内2地区の高等学校教育研究会家庭・福祉部会研修会に招聘され、教育プログラムを広く紹介する機会を得た。山形県高等学校教育研究会家庭・福祉部会研究委員会が発行する研究冊子にも本研究で開発した教育プログラムが紹介され、教育実践との連携を図ることができたことは意義深い。
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