研究課題/領域番号 |
16K00741
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
大竹 美登利 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (40073564)
|
研究分担者 |
坂田 隆 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (00215633)
山崎 泰央 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (10387293)
浜島 京子 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20125785)
萬羽 郁子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (20465470)
生田 英輔 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 講師 (50419678)
吉井 美奈子 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (60413481)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 東日本大震災 / 石巻 / 学校避難所 / 生活復興過程 / 教員 |
研究実績の概要 |
東日本大震災では多くの学校が避難所として使われ、その運営に教員が当たり、多くの課題を抱えていた。そこで、教職員や関係者へのインタビューや調査、記録の収集によって、その課題を明らかにする。 <学校教員への面接調査>小・中・高・特別支援学校の教員10名を対象に、5月~7月に面接調査を実施した。管理職が不在、一部の生徒は下校しているなど、避難訓練とは相違する非日常での発災を視野に入れた対応の必要性があるという。火災や津波で生徒名簿を失い、安否確認に私物の携帯電話が活躍したが、多大な時間と費用の負担があった。被災者でもある教職員だが、生徒のケアや避難所運営を最優先にせざるを得なかった。など、教員の精神的・身体的負担は大きかった。 <高校生への面接調査>12月~3月に、震災時中学1、2年生の8名を対象に面接調査を実施した。夢中で山に逃げての野宿や、家族が死亡などの辛い経験を、語ろうという気持ちに変化したという。支援物資は3~4日来ない、食べ物は1日目はあったが2日目からは少なくなり、布団がなく寒くて眠れないなど、多くの辛い経験をした。しかし家族の会話が増えたというプラスの面もあったという。 <高校生へのアンケート調査>12月~1月に、石巻市内の高等学校10校の1~3年生を対象にアンケート調査を実施し、1210人から回答をえた。7割の者が地震と津波の被害を受け、2割は家族数が増減し、生活が大きく変化していた。半数の者がボランティアの支援を受け、3割の者がボランティアに参加し、ボランティア活動が身近になっていた。震災後、家族とのつながりが深まり,防犯意識が高まっていた。6割以上が、震災は自分の進路や将来に影響を与えたとしており、「医療・福祉」「公務員」「教育関係」など生活支援で活躍が目立った職業を希望する者が多くなっていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
石巻市内の教員、生徒の面接調査、アンケート調査を実施し、その基礎的な実態を把握し、目的をほぼ達成した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は高等学校、中学校、小学校で蓄積された避難所運営の1次資料の収集を行い、避難所運営の課題を分析し、避難所運営の物理的環境や人的協力関係、また生活視点からの課題を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
石巻の学校避難所の基礎調査として、HPで入手できる各学校や教育委員会の避難所等の関連情報の収集を中心に行ったため、旅費を予算通りに使用しないですんだ。また、調査データの整理などは全体状況把握の為もあって研究者自身が行ったため、アルバイト雇用(謝金)が押さえられた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度以降は基礎データをもとに石巻の学校を訪問し、一般に得られない情報を収集するため、平成28年度で使用しなかった旅費を使用する予定である。 また、謝金の残額は、アルバイトを雇用せずに、データ入力などは業務委託を利用する事も考えている。
|