• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

親の社会経済的環境からみた幼児の生活習慣の「乱れ」に関する質的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K00747
研究機関静岡大学

研究代表者

冬木 春子  静岡大学, 教育学部, 教授 (60321048)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード幼児 / 生活習慣 / 親 / 就労
研究実績の概要

本研究の目的は、幼児期の子どもの生活習慣が親の社会経済的環境によってどのような影響を受けているのかを明らかにすることである。本年度は幼児の睡眠習慣及び食習慣について親の就労との関連を量的調査により明らかにした。主な知見は以下のとおりである。
幼児の睡眠習慣では22時以降に就寝する幼児は21.2%であり、国の行った調査よりは少ないものの、約2割の子どもについて遅寝の傾向が認められた。睡眠習慣と母親の職業の有無との関連では、母親が有職であることで就寝時間が遅く、睡眠時間も短いことが明らかにされた。一方、幼児の食習慣については母親の職業の有無では関連が認められなかった。全体的に対象児の野菜料理の摂取が少なく、朝食では約7割、夕食では約3割の子どもが野菜料理を食べていないことも示された。
幼児の生活習慣には父親の影響が「共食状況」でのみ認められた。父親の出勤時間が早いまたは帰宅時間が遅いほど家族全員で食事をする割合が減少していた。以上より、幼児の健全な睡眠習慣の形成には母親の就労や帰宅時間が影響を及ぼすことが明らかにされたことから、幼少期の子どもをもつ親のワーク・ライフ・バランスが子どもの健全育成においても重要であると言える。一方、子どもの食習慣については親の就労要因との関連はなかったことから、親に対する食事に関する情報提供や知識やスキルの向上が重要であると考えられた。すなわち子どもの健全な生活習慣の形成には、子どもの育成環境を社会経済的環境の観点から整えること、さらには親に対する教育的支援についても必要であると言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究一年目であることから、幼児の生活習慣と親の社会経済的環境との関連についての全体像を探ることが当初の計画として設定されていた。これをふまえて本年度は質問紙調査を実施し、分析、考察を行った。したがって、概ね研究は順調に進展していると言える。
質問紙調査の対象者の中から数名であるが、次年度以降に行うインタビュー調査の協力を得られる可能性ができたことから、次年度の質的研究に向けての準備も行うことができた。

今後の研究の推進方策

今後の研究としては、幼児の生活習慣について睡眠習慣及び食習慣だけでなく、間食習慣や運動習慣にも視野を広げ、親の社会経済的環境との関連を量的調査によって全体像を探る。それらをふまえた上で、個別の親の職業や職種に着目し、親の社会経済的環境が子どもの生活習慣にどのような影響をおよぼしているのかをインタビュー調査を行い明らかにしていく。
これらを通して、どのような「環境」にいる子どもが生活習慣の「乱れ」を生じさせやすいのかを明確化させ、子育て現場における家族支援の具体的あり方を探求していきたい。また、子どもの健全な発達に資する社会的取組の現状についてもインタビュー調査や文献調査を行い、子どもの生活習慣形成における社会的支援のあり方を提言していくつもりである。

次年度使用額が生じた理由

質問紙調査補助への謝金を多く想定していたが、保健センターやこども園での調査協力がえられたため、調査補助へ支払う謝金が少なかったためである。また、幼児の生活習慣改善に向けての具体的取組を行っている団体等へのフィールドワークを行う予定であったが、次年度に行うことになったことによる。

次年度使用額の使用計画

量的調査を行う上での調査補助が必要であるため、謝金として使用するつもりである。また、インタビュー調査の補助やトランスクリプトの作成に対する補助に対しての謝金としても使用するつもりである。さらに、次年度以降には幼児の生活習慣改善に向けての具体的取組を行っている団体等へのフィールドワークを行う予定であり、旅費等が必要である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 親の社会経済的環境からみる幼児の睡眠習慣2017

    • 著者名/発表者名
      冬木春子
    • 雑誌名

      静岡大学教育学部研究報告

      巻: 67 ページ: 233-242

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 親の社会経済的環境からみる子どもの睡眠習慣2016

    • 著者名/発表者名
      冬木春子
    • 学会等名
      日本家政学会
    • 発表場所
      金城学院大学(愛知県、名古屋市)
    • 年月日
      2016-05-29

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi