研究課題/領域番号 |
16K00749
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
安藤 香織 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (40324959)
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研究分担者 |
杉浦 淳吉 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (70311719)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コミュニケーション / 環境配慮型ライフスタイル / ゲーミング / 国際比較実験 / 多元的無知 |
研究実績の概要 |
本研究では、環境配慮行動を推進するメッセージの送り手となる効果を、説得納得ゲームを用いて検討する。 説得納得ゲームでは、参加者が説得する側と説得される側の2群に分かれ、説得する側は説得される側の一人に対して、自分が考えて省エネ行動を実施するように説得を試みる。平成30年度に、ドイツ、香港、日本において説得納得ゲームを実施したため、令和元年度にはその分析と、学会報告、論文の執筆を行った。 分散分析の結果、ゲーム実施前よりも実施後の方が省エネ行動意図、深刻性認知、記述的規範、主観的規範、行動統制感がすべての国において高くなっていた。説得納得ゲームに参加したことにより、省エネ行動への行動意図が高まっただけでなく、他者が環境問題へ関心を持っている、という認知が高まったことが示唆された。日本はゲーム前には環境コミュニケーションが最も低く、説得への自信も最も低かった。しかし、ゲーム前後での主観的規範の変化は日本が最も大きかった。またゲーム評価は日本が最も高かった。日本では日常で他者との環境コミュニケーションが少なく、他者は環境問題に関心を持っていないと考える人が多いが、機会が与えられればその認知が変化しうることが示された。 説得納得ゲームを用いた国際比較実験の結果をSimulation & Gamingに英文で投稿し、受理・掲載された。 また、メッセージの効果をシナリオ実験で検討した国際比較実験の結果をアジア社会心理学会で、説得納得ゲームを用いた国際比較実験の結果を国際シミュレーション&ゲーミング学会、日本社会心理学会、グループ・ダイナミクス学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は説得納得ゲームの国際比較実験の結果を論文としてとりまとめ、投稿することができた。また、その論文が査読の結果年度内に受理となり、掲載された。学会発表についても、国際学会において2つの研究の成果を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、メッセージの受け手となるシナリオ実験を用いた研究、メッセージの送り手となる説得納得ゲームを用いた研究について、報告書をとりまとめる。また、説得納得ゲームを実施してから一定期間後にも、説得納得ゲームの効果が残っているかの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度に、ドイツに杉浦のみが渡航して説得納得ゲームを実施する、海外の共同研究者との打ち合わせをメール等により行うことなどにより費用を節約して繰り越しており、令和元年度の科研費の使用がほぼ予定通りであったため、前年度から繰り越した分が未使用となった。
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