研究課題/領域番号 |
16K00750
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
李 キョンウォン 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (90263425)
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研究分担者 |
篠原 久枝 宮崎大学, 教育学部, 教授 (40178885)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | しつけ / 虐待 / 訓育 / 日韓比較 |
研究実績の概要 |
日本と韓国では、2000年以降から児童虐待防止の関連法などの整備に基づいて、児童虐待防止のための様々な対策が整備されつつある。しかし、両国の現状をみると、虐待相談件数は年々増加しており、明確な虐待のみならず、しつけと称した虐待も増え、その結果、子どもの命までを奪う事件が後を絶たない。本研究では、しつけと称した虐待行為は、どのようなプロセスで生じるのか、また、なぜ続くのか、虐待のみならず、しつけと称した虐待防止を困難にしているメカニズムは何かを解明することを目的としている。 日本では「しつけ」という言葉で、韓国では「訓育(フンユク)」という言葉で、虐待行為が正当化されている現状とその背景について、日韓の文化的特質を考慮しながら、解明することを目指している。 2018年度は、日本と韓国で、「子どもの『しつけと虐待』に関するアンケート調査」を実施した。日本では、2018年7月に宮崎県内の未就学児の保護者を対象に質問紙調査を行った。配布587部、有効回収374部である。韓国では、2018年10月に昌原市の未就学児の保護者を対象に質問紙調査を行った。配布500部、有効回収274部である。質問項目は、子育て環境、しつけに関する意識、しつけ内容、しつけ時の方法、しつけと虐待に関する認識などである。両国の調査結果については、現在分析中である。 2018年の日本と韓国で実施したアンケート調査時に、子どもの保護者にはインタビュー調査協力を依頼した。今後は、協力意思を示してくださった保護者の方々にインタビュー調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、日本と韓国の比較研究として、未就学の子どもを育てている保護者を対象に、インタビュー調査とアンケート調査による意識・実態調査を同時に進行しているものである。現在、両国において、アンケート調査は終了しており、分析中であるが、インタビュー対象者を選定することに時間を要したために予定より少し遅れている。インタビュー対象者がほぼ確定しているので、2019年度にインタビューを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、日本と韓国で未就学児の保護者を対象にインタビュー調査を実施、分析する予定である。日本では6月から8月の間、韓国では8月から10月の間に実施する予定である。 2019年度は、研究成果の一部を学会等で発表する予定で、2019年5月に開催される日本家政学会での発表が採択され、準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の実施計画として、2018年度に、日本と韓国において未就学児の保護者を対象に質問紙によるアンケート調査とインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、質問紙によるアンケート調査を実施したのみで、インタビュー調査ができなかった。インタビュー調査費用と分析費用、さらに、研究成果発表のための費用などが、次年度使用額としてある。 2019年度には5月に日本家政学会で研究成果の一部を発表するとともに、日本と韓国でインタビュー調査を実施、分析、報告書を作成する予定である。
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