本研究では、家庭科教育における5年間を見通した小・中学校での継続的な指導を可能にするとともに、同じ中学校に進学する複数の小学校との連携や共同研究 にも活用可能なワークシートや授業記録シートの開発、並びに中学校の家庭科教員が核となってそれらを 活用することの有効性の検証を目的としている。そのため、平成30年度は、以下の研究を行った。 【開発した指導記録用紙の有効性の検討】:九州地区における家庭科の小中連携に関する実態調査をふまえて開発した教員用の「指導記録用紙」を小・中および高校の家庭科授業担当者に配布し、その活用状況を分析することによって、「指導記録用紙」の有効性を明らかにした。と同時に、小・中・高校の教員間で指導記録用紙を活用した情報共有を推進した。 【ポートフォリオ型ワークシートを活用した授業実践とその分析・評価】:中学校および高校での住居学習において、改善を重ねた「ポー トフォリオ型ワークシート」を活用した授業を実施し、その結果の分析を行った。「ポー トフォリオ型ワークシート」を用いることで、前の学校種での学習内容に意識を向けさせるるとともに、教員は各時間における学習者の授業把握の実態およびクラスの状況を短時間で総体的に把握することができていた。またその活用によって教師の意図とのズレの把握や修正が可能になった。 【家庭科での学びの過程に関する整理・総括】:小・中および高校の連携を進める上で基盤となる家庭科での学びの過程について整理・総括を行った。 【研究成果の発表・報告】:中学校および高校での住居学習における「ポー トフォリオ型ワークシート」を活用した授業実践・分析結果および課題については宮崎大学教育学部の紀要に投稿した。また、家庭科での学びの過程に関する総括については、日本家庭科教育学会誌において公表した。
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